暮らし替えの道しるべ

(41)社会を豊かにする主婦の力

 今から30年ほど前、主婦として日々家事をこなし、この暮らしがこの先ずっと変わらないのではないかと思うような変化のない毎日でした。子供の幼稚園でPTA役員決めがあり、くじ引きで仕方なく副会長を引き受けました。会長1人、副会長2人の3人が主体となり、幼稚園の行事を先生と一緒に進めていきます。

 毎日平凡に過ごしていた私にとって、彼女たちとの話し合いは今まで経験がないほど新鮮で楽しい時間でした。特に海外で暮らした経験のある会長の意見は奇想天外で、固定観念にとらわれない考え方。素早い行動力と決断力もあり、さまざまな課題を解決していく姿は、大変刺激的でした。

 こんな素晴らしい主婦の力をこのまま眠らせておくのはもったいない。このときの経験が、のちに女性だけのお片付け会社を立ち上げるきっかけになりました。仕事では、それぞれのお客さまの要望に柔軟に応えることで信頼を得ることができました。主婦は、家に帰れば、家族全員のスケジュールを細かく把握しそれぞれに対応し、家事を切り盛りしています。主婦なら誰にでも備わっている「力」です。ライフステージの変化に応じ、暮らしを楽しむことで、主婦の力が身につくのではないでしょうか? この力こそ、地域や社会を豊かにする原動力になるはずです。

 片付けを通じて暮らしやすい住環境を作る仕事は、「ホームステージング」として、今では住宅の流通にもつながる広い範囲をカバーするようになりました。

 困難があっても目標に向かって柔軟に解決できる、そんな主婦が日本にもたくさんいるはずです。家庭で得たたくさんの経験を自信に、自分の力を試してほしいと思います。(日本ホームステージング協会代表理事・杉之原冨士子)

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