ヘルスケア

睡眠のプロに聞く “6つのお悩み別”あなたの「睡眠問題」解消法 (2/3ページ)

 寝室に時計を置くのはかまいませんが、ベッドから見えない場所に置いたり、目覚まし時計を伏せておくなどの工夫をするとよいでしょう。夜中に起きたときも、時計は見ないようにします。

 併せて「自己覚醒法」も行います。寝る前に「明日は朝○時に起きる」と、起床時刻を3回唱えるというものです。これを行うだけで、コルチゾールが起床時刻に向けて分泌されて起きる準備ができます。

 もし夜中に目が覚めたりしても、「○時に起きる」と寝る前に決めた起床時刻を3回唱えましょう。すると、脳のプログラムは書き換えられるので、続けていけば夜中に目が覚めることは減っていくはずです。

 ▼解決策:時計は見ずに起床時刻を3回唱える

 【お悩みタイプ3】早く目覚める

 高齢になると、一日の長さを決める役割を持つホルモンのメラトニンが減少します。これが減ると、睡眠時間はどんどん早いほうにずれて、早寝早起きになります。

 ところが多くの人が「睡眠時間は長いほうがよい」と思い込み、「もっと寝なければ」と、就寝時刻を一層早くしてしまいます。その結果、さらに起床時刻が早くなってしまいます。

 対策は「遅寝遅起き」をすることです。

 そのときのコツは「30分単位で遅らせる」こと。1度に1時間以上就寝時刻をずらしたりすると、睡眠が途切れたり、睡眠の構造が変化して寝付けなくなったり、夜中に目が覚めてしまったりしやすいのです。

 いつも夜9時に寝る人でも、30分だけ頑張って9時半に寝ることはできるはずです。睡眠のリズムはだいたい2週間で固定するので、2週間ごとに30分ずつ就寝時刻を遅らせて遅寝遅起きにしていきます。

 「8時間は眠るべき」など、理想の睡眠時間があると信じている人はたくさんいて、5時間睡眠で自分の体調が良くても、何とかして8時間寝なくてはならないと考えてしまいます。しかし、そもそも早寝早起きで体調に問題がない人は、無理に睡眠時間をずらして遅い時刻に起きようとする必要はありません。

 睡眠は「目的」ではありません。休息を取り、自分のコンディションを良くするための手段です。早寝早起きでも、遅寝遅起きでも、自分のコンディションが良ければそれでいいのです。

 一方で、不調を感じていて、それを解決するためであれば、自分の都合で早寝早起き、遅寝遅起きの、どちらにずらしてもかまいません。

 ▼解決策:30分単位で遅寝遅起きにシフト

 【お悩みタイプ4】眠った感じがしない

 長時間寝ているはずなのに、熟眠感がなく、朝起きたときに爽快感がなかったり、だるさを感じたりするという悩みを解決するためには、「睡眠圧」という仕組みを知ることが役立ちます。「連続して起きている時間が長いほど、その後の睡眠が深くなる」というもので、睡眠物質が関係しています。

 私たちが起きている間、脳内には睡眠物質がたまっていきます。睡眠が始まると睡眠物質は分解されていき、目が覚めるのです。ところが、夕方にうたた寝をすると、せっかく日中にたまった睡眠物質が分解されてしまいます。

 まずは、ひとまとまりの睡眠をつくるようにしましょう。

 一日を振り返ると、うたた寝する場所は帰宅途中の電車内やリビングのソファなど、決まっていると思います。脳は、人間の行動パターンを学習し、記憶してしまうので、疲れていないときでもその場所に行くと眠くなるのです。

 ですので、行動パターンを変えやすく、体が疲れていない休日などを選んで、夕方にうたた寝をする場所に近寄らないようにしましょう。十分な睡眠圧をもってベッドに入る日をつくると、脳はその行動パターンを学習します。

 さらに、睡眠の質を決める「深部体温」も重要です。深部体温は、内臓など体の内部の温度で、一日のうちで上がったり下がったりを繰り返すのですが、起きてから11時間後に最高になることがわかっています。このときの最高体温が高いほど、その後ズドンと下がり、ぐっすり眠ることができます。

 ですから、まずは休日の夕方に体を動かし、深部体温を上げるようにします。また、深部体温のピークは、今日運動をして高くなると、翌日も、もし運動をしなくても少し高くなる傾向があります。

 土日の2日間と、平日のあまり忙しくない日の1~2日間だけでも、夕方に少し歩いたりして体を動かすと、深部体温のピークが上がっていきます。

 ▼解決策:絶対うたた寝する場所に近寄らない

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