ヘルスケア

睡眠のプロに聞く “6つのお悩み別”あなたの「睡眠問題」解消法 (3/3ページ)

 【お悩みタイプ5】起きられない

 起床時刻のばらつきは、3時間以内に揃えましょう。例えば、普段6時に起きる人は、休日寝だめをするときにも9時には起きるようにします。起床に関係するホルモンのコルチゾールは、起床時刻の3時間前から分泌され始めますが、起きる時刻が3時間以上ずれると、起床の準備が間に合わず、イライラしたりやる気が出なくなったりしてしまいます。

 そのうえで、寝る前に起床時刻を3回唱える自己覚醒法を行います。このときに注意したいのは、目覚まし時計のスヌーズ機能(一定時間ごとに鳴りだす再アラーム機能)に頼りすぎないことです。

 7時に起きなくてはならないとき、目覚まし時計を6時半にセットし、スヌーズ機能を使って最終的に7時に起きるという人は多いと思います。しかし、スヌーズを使うほど決まった時間に起きられなくなります。

 睡眠の後半になると、脳は、起床時刻から逆算して覚醒の準備をしていきますが、スヌーズを使うとゴール設定がずれて目覚めが悪くなるのです。

 ですから、スヌーズは保障として使い、脳の起床に向けた準備をさまたげないようにしながら、自己覚醒法を行います。例えば、週末に10時に起きたいときは、目覚まし時計を10時にセットして「10時に起きる」と3回唱えて就寝します。すると、9時50分ごろに目が覚めるようになります。次の週末は、前の週に実際に目覚めた9時50分に目覚ましをかけて、「9時50分に起きる」と唱えてから就寝します。

 これを繰り返すと、だんだん起きる時間が早くなり、平日と休日の起床時刻が揃ってきます。

 練習の効果が出るものなので、ぜひ続けてやってみてください。

 ▼解決策:スヌーズは保障程度に。起床時刻を揃える

 【お悩みタイプ6】昼間眠い

 昼間に眠くなってしまう場合は、「睡眠のコアタイム」と「総睡眠時間」という2つの視点で睡眠を見直すとよいでしょう。

 まず、睡眠のコアタイムとは、就寝時刻と起床時刻を毎日並べてみたときに、必ず寝ている時間帯を指します。例えば、平日は夜11時に寝て朝6時に起き、週末は午前3時に寝て11時に起きる場合、コアタイムは午前3時から6時の3時間だけになります。これが5時間以上になるようにしましょう。

 コアタイムが短いと、睡眠のリズムは崩れやすくなり、睡眠と覚醒の差もあいまいになります。一日中眠く、就寝中もぐっすり眠れないという状態になりやすいのです。週末に寝だめをしてもコアタイムは延びないので、あまり効果はありません。

 コアタイムが5時間以上取れているのに、それでもまだ眠気がある場合は、総睡眠時間を増やすことを考えます。

 総睡眠時間は、累積睡眠量で考えます。1日15分就寝が遅れ、それが1カ月続けば7.5時間になり、1日徹夜したのと同じことになります。

 ここで邪魔になるのが、毎日同じ時間に寝ることを「規則正しい生活」だとする考え方です。例えば、「毎日夜は11時に寝る」という人は、寝る準備が10時50分に終わっても、11時までの10分間はテレビを見たりほかのことをしてつぶそうとします。10時50分に寝れば、この10分間は総睡眠時間にあてられるはずなのに、無自覚に睡眠を削ってしまっているのです。

 コアタイムをしっかり取り、さらにその前後で5分や10分でもいいので睡眠時間を延ばして総睡眠時間を増やしましょう。

 ▼解決策:コアタイムは5時間以上。規則正しさにこだわらない

菅原 洋平(すがわら・ようへい) 作業療法士
 ユークロニア代表。国際医療福祉大学卒業。2012年ユークロニアを設立。全国の企業を対象に、「睡眠マネジメント研修」など、生体リズムや脳の仕組みを使った人材開発を精力的に行う。

 (作業療法士 菅原 洋平 構成=大井明子)(PRESIDENT Online)

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