教育・子育て

スウェーデンで男の育休が機能しているワケ 子供が病気の場合も“VAB”で休める (1/2ページ)

 子供が一歳十一ヶ月のときにスウェーデンへ家族3人で移住した『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』の著者・久山葉子さん。日本で共働きをしていたころは「仕事も育児も中途半端」という思いから自己嫌悪に陥る毎日をおくっていたという彼女が、「親になっても、自分のやりたい仕事を週に四十時間やる権利がある」と断言できるように変わったスウェーデンでの暮らしとは? 共働き子育て家族に優しいスウェーデンならではの制度や、現地の働く母たちの制度の活用法について紹介する。

 ※本稿は著者・久山葉子『スウェーデンの保育園に待機児童はいない 移住して分かった子育てに優しい社会の暮らし』(東京創元社)の一部を再編集したものです。

 報道で伝わりきらないスウェーデン子育て支援の素晴らしさ

 スウェーデンの育児休業制度については、日本でもしばしば報道されているのを目にする。“育児休業は子供ひとりに対して四百八十日もある”とか“父親がとらなければ消えてしまう九十日がある”といった記事をどこかで読まれた方もいるかもしれない。

 確かに間違いではないのだが、それだけでは到底スウェーデンの子育て支援の素晴らしさを伝えきれていないというのがわたしの感想だ。

 まず基本中の基本“育児休業四百八十日”という点から見てみよう。四百八十日と聞くと、「つまり約十六ヶ月か。日本の“子が一歳になるまで”に比べれば長いが、“保育園に入れなかった場合に延長できる一歳半”よりは短いじゃないか」と思われるかもしれない。しかしこの四百八十日というのは、あくまで実際に休む日数の合計である。たいがいの人は週に五日しか働かないから、週で言うと九十六週間、つまり約一年十ヶ月休めるということになる。

 男性の育児休業率が高い理由は「フレキシブルな育休」

 ここで大事なのは、育児休業の取得は一回きりというわけではないことだ。夫婦の仕事の都合を考えて、例えば“ママ六ヶ月→パパ六ヶ月→ママ三カ月→保育園入園”という取り方もできるし、“ママ六ヶ月→パパ六ヶ月→保育園入園→夏休みの時期にママ三ヶ月→”というパターンもありだ。このフレキシブルさが、男性の育児休業の高さにつながっている。

 日本では暗黙のうちに“育児休業は一回きり”という前提があると思う。男性に一年間育児休業を取得しろというのは、スウェーデンでだって無理がある話だ。パパかママのどちらかが一度しか取得できないような制度だったら、スウェーデンの男性の育児休業取得率もかなり低くなるだろう。日本では「男性の育児取得率が低い」と皆が嘆いているが、このあたりを改善しないままだと、いくら「(奥さんは専業主婦だけど)一週間育児休業を取得してみました!」という男性がニュースになっても、取得率はたいして上昇しないのではないか。

 実際のところ、スウェーデンでも女性の育児休業取得率の方が圧倒的に高い。そこには、スウェーデンでも男性のほうが平均的に収入が高いという現実がある。世帯収入を考えると、女性が休んだほうが得なのだ。それでもなるべく両方の親が育児休業を取得するよう“片方の親だけが取得できるのは四百八十日のうちの三百九十日まで”というルールが設けられた。つまり、母親だけしか育児休業を取得しない場合、残りの九十日は消えてなくなってしまう。

 その政策の効果もあってか、わたしの周りの男性で育児休業を取得したことがないという人はほとんどいない。例外は、スウェーデンの子育て概念が通用しない海外で勤務をしていた男性くらいだ。

 女性の長期的なキャリアを考えた育休制度だから意味がある

 育児休業についてもうひとつ付け加えておきたい重要な点が、この四百八十日は子供が保育園に入ってからも取得できるということだ。物心がついてから親子で思い出を作りたいと思う場合は、残った育児休業を利用して夏休みを長くとることもできるのである。

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