教育・子育て

虐待防止へ「オレンジリボン」運動広がる 都や業者が推進 

 児童虐待が大きな社会問題になっている中、児童虐待防止推進月間の今月、官民がさまざまな取り組みを進めている。東京都は虐待死事件をきっかけに始まった「オレンジリボン運動」にちなんで、都庁をオレンジ色にライトアップ。民間企業でも児童虐待をなくそうと不動産大手・大京グループのマンション管理会社2社が、全社員を対象に児童虐待防止のための講習会を導入した。全社員を対象に虐待防止の講習をするのは民間企業初という。小さな命を救う動きは着実に広がりつつある。

 オレンジリボン運動は、平成16年に栃木県小山市で3歳と4歳の兄弟が虐待の末、橋の上から川に投げ入れられ亡くなるという痛ましい事件を機に始まった市民運動。児童虐待をなくすことを目指しており、オレンジ色のリボンがシンボルだ。

 都庁のライトアップは30日まで行われる。都ではこのほかJ1リーグFC東京戦来場者への啓発運動や都の推進キャラクター「OSEKKAIくん」を活用し、関係機関や団体と協力し、児童虐待防止の普及啓発に取り組んでいる。

 大京グループ2社の講習会も「オレンジリボン運動」に賛同する取り組みだ。マンション管理を受託していることから、児童虐待の発見や防止を目的に、社員への教育に力を入れている。以前、管理するマンションなどで支援が必要とみられる親子が見られたことが、社員の講習会導入のきっかけとなったという。

 第1回目の講習は今月18日に行われた。講師を務めたNPO法人「児童虐待防止全国ネットワーク」理事の高祖常子(こうそ・ときこ)さんは、マンション管理から見えてくる虐待の「不安要素」などを講義。「ちょっとした目配りや気配りで子供を虐待から救える」と話した。今後、2社の全社員約9400人に順次、講習会を受講させる。

 受講した大京アステージ横浜支店の伊藤嘉(よしみ)さん(40)は「何か違和感を感じた場合、どのように対応すればよいか、家庭にどの程度踏み込んでいいのか判断が難しく、不安を感じることもあった。講習会に参加し、いち早く児童相談所に相談することが重要だと分かったので今後に生かしたい」と話した。

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