ヘルスケア

感性が鈍り、幸せも…「スマホを手放せない人」がハマるストレスの沼 (1/3ページ)

 ニュースサイトのコメント欄には、批判や悪口がたくさん投稿されている。なぜそんなことになるのか。精神科医で禅僧の川野泰周氏は「他者を攻撃している間は自分の嫌な部分に目を向けなくてすむ。実生活でストレスを溜め込んでいるのでしょう。スマホを見る時間を意識的に短くしたほうがいい」という--。※本稿は、川野泰周『会社では教えてもらえない 集中力がある人のストレス管理のキホン』(すばる舎)の一部を再編集したものです。

 「悪口」「批判」の原因は、あなたが溜め込んだストレス

 ネット記事やテレビでニュースを見ていて、つい批判的な気持ちになることはありませんか?

 「あの政治家、また口ばっかりで何にも行動してない!」

 「あんな事故を起こしたのに、どうして逮捕されないの?」

 「この人は正論を言っているけど、現実はもっと厳しいのが分かっていない!」

 もちろん、人によって同じ物事に対して様々な見解を持つのは自然なことです。ところが、中には実際にコメント欄に感情をむき出しにしたような言葉を書き込んだり、SNSで痛烈に批判したりする人も。

 こうした、ネット上で批判的なメッセージを発信する人に多く見られるのが、実生活ではストレスを自分の中に溜め込んでしまうという傾向です。

 「どうして家事を手伝ってくれないの?」

 「上司だって、あんな言い方しなくてもいいのに」

 「後輩がこんな大きなミスをしているのに、全然反省していない!」

 怒りや批判、悲しい気持ちが湧き上がっても、黙って仕事をこなしている。元気なときは楽しいことを考えたり、テンションを高めに保ったりして、愚痴や批判的な気持ちから目をそらすことができますが、疲れが蓄積してくると心の中が愚痴や批判的感情に支配されてしまうのです。

 ネガティブ感情を抑えられない脳の仕組み

 疲れてくると批判的な気持ちになる。それって実はとても当たり前のことなんです。

 なぜなら、元気なときは負の感情を抑え、ものごとの良い側面に目を向けるだけのエネルギーがあるから。

 言い換えれば、元気なときは、他人に対しても、自分に対してもネガティブな感情をなかったことにして、グッと抑えることができます。

 しかし、心が疲れてくると、前頭葉の機能が低下してきます。理性的に思考することによって感情が露呈するのを抑えているのは、脳の「前頭葉」の中の一番前にある「前頭前皮質」。「思考の最高中枢」とも呼ばれる場所です。

 心が元気なときは、前頭前皮質の機能である、理性的に考えることにエネルギーを割くことができるので、本能的、感情的な反応を抑制し、コントロールすることができます。

 前頭葉は人間の脳の中でもっとも進化した、新しくて高性能な脳機能部位であると考えられていますが、そのぶん稼働するために多くのエネルギーを消費することが分かっています。

 疲れてくると、脳で使えるエネルギーの量が限られてくるため、一番ロスが大きい進化の進んだ脳を極力使わないようにして、「本能的」な脳をメインとして働かせる状態になります。本能的な脳、というのはつまり、大脳の奥のほうにある「扁桃体(へんとうたい)」などの、感情を司る部位です。

 扁桃体はいわば「ネガティブ感情の発生部位」です。ここが主体的に活動する状態になると、嫌だ、という気持ちを止められなくなって、怒りがそのまま感情表現として出てくるようになります。うつになりかけているときにイライラしやすくなるのは、前頭葉の動きが低下しているから、と言えます。

 自分に自信がない人ほど他人を批判するもの

 つい人を批判したくなる、というのは「自己肯定感の低さ」の表れでもあります。

 自己肯定感とは、自分で自分を認めてあげられる、このままの自分でいいと思える心のあり方です。

 自分のやっていること、生き方に自信がない。何か漠然と不安を抱えている。

 このような状態では、たとえそれが意識に上らなかったとしても、常にストレスを抱えていることになります。

 こうした自責の念から目を背けるため、他者を攻撃してしまうのです。

 他者を攻撃している間は自分の嫌な部分に目を向けなくてすみますし、自分を優位に立たせることで、自分の身を守ろうとしている。

 いわば「先手必勝」のスタンスです。攻撃し続けなければ不安に負けてしまうという幻想にとりつかれた状態といえるでしょう。

 一方で、自己肯定感の高い人は他人を必要以上に批判しないし、誰かから同意されることを強く求めたりしません。

 なぜなら、自分で自分のことを「今の私はこういうあり方なんだよね」と認めているからです。相手のことも「相手には相手の事情があるのだろう」とすんなり受け入れることができ、ひいては「相手も大変だなあ」と労をねぎらう気持ちすら生まれるのです。

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