先週の為替相場は引き続き米中貿易交渉の進展に注目が集まり、膠着状態が続くなか、後半は米国の感謝祭の影響もあり、主要通貨は乏しい値動きとなりました。
全体的に鈍い動きが続くなか、英国の総選挙に関する世論調査において、保守党が過半数の議席を獲得する可能性が高いと報じられたことを受けてポンドは比較的底堅い推移となりました。
今週はトランプ米大統領が「香港人権民主法案」に署名し、成立させたことに対して、中国側からの何らかの対抗措置の可能性も警戒されており、引き続き、米中関係に関する報道に注意が必要な状況が続きそうです。
また、経済指標では、米国の雇用統計、ISM景況指数などの重要経済指標が、米国の利下げ休止を正当化する材料となるかどうかに注目が集まり、米国経済の底堅さが示されれば、米ドルの下支え材料となりそうです。
市場参加者が戻り高値を切り上げるか
では、世界中に顧客を持つ外国為替証拠金取引(FX)会社のOANDA(オアンダ)が提供するオーダーブックで外国為替市場の動向を探ってみましょう。
オーダーブックはOANDAの顧客の取引状況を公開したデータです。顧客の保有しているポジションの取得価格の水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンポジション」と、顧客の未約定の注文の価格水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンオーダー」の2種類のデータから成ります。
ちなみに、ある通貨を買っている状態を「買いポジション」、売っている状態を「売りポジション」といいます。買いポジションを保有している場合、その通貨の価格が取得価格から上昇したら収益が上がり、逆に下落すると損失が発生します。売りポジションを保有している場合は、取得価格から下落すると収益が上がり、上昇すると損失が発生します。FXでは、それぞれのポジションとは反対の売買を行って決済(損益の確定)をする仕組みとなっているからです。
先週のドル円は底堅い推移となり、1米ドル=109円台中盤まで上昇する動きとなりましたが、木曜日が米国の祝日であったため、市場参加者が減り、後半は乏しい値動きとなりました。
OANDAのオープンポジションを見ると、売買の比率の偏りは少ないですが、価格が上昇したことにより、含み損を抱えた売りポジションが増えており、価格がさらに上昇すると、これらのポジションの損切り(損失を増やさないための決済注文)の買い注文が増え、上昇の勢いを後押しする可能性が考えられます。
一方で、後半の伸び悩みでうまく利益が伸びず、ストレスを抱えている買いポジションも少し増えており、価格が下押しするような状況となると、これらのポジションの損切りの売りが増える可能性にも少し注意が必要です。
木曜日以降は祝日ムードが続いていたこともあり、市場参加者が戻ってきた後にしっかりと高値を切り上げることができるかどうかに注目したいところです。