書評

『改良』遠野遥・著

 ■性の揺らぎを乾いたタッチで

 メークや服装を通して、美しい自分を目指す大学生の「私」が主人公。コールセンターのアルバイトで稼いでは、お気に入りの女性がいるデリバリーヘルス店に金を費やす「私」だが、日々美しくなるための努力は忘れない。美しさにとらわれる「私」は、やがて自分の女装した姿を見てもらって、その美しさを他人に認めてほしいという抑えがたい願望を抱くようになる。そこに、ある理不尽な事態が降りかかり…。

 性をめぐる暴力の描写も絡めながら、セクシュアリティーの揺らぎが乾いたタッチでつづられている。第56回文芸賞受賞作。(河出書房新社、1300円+税)

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