ゆうゆうLife

家族がいてもいなくても(623)シニアからの探検

 今年は、初日(はつひ)も初詣も年賀状もスルーしてしまった。

 原稿の締め切りが世間でいう仕事始めに集中。年末に頑張らないと、こういうことになるよ、という見本みたいな始まりだった。

 いつもは、そんなことでは落ち込まない。けれど、今年はなぜかかなりのダメージだった。

 「冬は冬眠」の計画を急遽(きゅうきょ)、お出掛けモードにギアチェンジし、気分アップを図ることにした。

 幸い今年はまだ雪が積もらない。目覚めれば一面真っ白!の朝はあっても、日が高くなると雪は消え、車のフロントガラスが凍結したりすることもまだない。

 那須に来て、一人ドライブの楽しさを人生で初めて知った私でもある。落ち込んだ時は、自然に癒されるのが一番なのだ。

 今は、どこの森も柔らかなふわふわとしたチャコールグレーに染まっていて、そのところどころに常緑樹の緑がのぞき、まるで絵本の挿絵のように愛らしい。牧草地の多い風景のいいところは、空が広々としていること。大きな雲の悠々とした姿を眺めているだけで、ぐんぐん励まされていく。

 移住したての頃、「那須、黒磯、那須塩原あたりまではわが庭のごとく移動できるようにならないとだめよ」と、コミュニティースタッフに言われた。

 先日は、その彼女から改めて那須高原をくまなく動くための主要ルートのレクチャーを受けた。

 あちこちの別荘エリア、楽しい観光エリア、キャンプ場エリア、温泉エリア…、改めて知るとワクワクしてくる。

 すでに自力で行ったところもあり、私もまんざらでもない、との思いもしてきた。

 これからは、闇雲(やみくも)なドライブを捨て、頭の中に正しく地図を描き、自分の暮らす地域をくまなく把握している、そんな女になりたいと、遅ればせながら今年の目標を定め直した。

 そんなわけで、ここ数日は地域探検に精を出している。 

 先日は、知り合ったばかりのご夫婦が那須のロイヤル通りに開店したカフェでランチをした。さらに、そこで顔を合わせたカフェ友の運営するキャンプ場に出かけ、午後のティータイムを過ごし、雄大な風景を堪能した。

 皆、リタイア族。晩年の人生のステージをこの地に定めたシニアたちだ。

 移住して2年の私は、地域に根付くのはこれからと、ようやく新年の前向きな気分を取り戻したのだった。(ノンフィクション作家・久田恵)

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