教育・子育て

教員の不祥事、大阪府が類型化 再発防止に事例集を配布へ

 教職員によるセクハラや体罰などに歯止めをかけるため、大阪府が過去の不祥事を類型化した事例集を作り、府内の小中学校や高校に配ることが4日、関係者への取材で分かった。問題行動の分析に役立つよう処分事案を「自己中心型」や「感情・衝動的型」などに分類し、研修で活用する方針。処分人数が全国最多レベルにある現状を重くみて今月中にも配布し、教育現場の意識改革を急ぐ。

 府教育庁が作成する「不祥事防止に向けたワークシート集」は、最近1~2年間に児童・生徒へのわいせつ行為や体罰のほか、盗撮や飲酒運転などで教職員を懲戒処分とした事案を15件程度掲載する。

 研修で再発防止の議論を深めてもらうため、事案は、自身の欲求のまま行動した「自己中心型」▽突発的に行動に出た「感情・衝動的型」▽加害者意識や当事者意識の薄い「認識不足型」-に類型化。処分対象の行動について「被害者や学校にどのような影響を与えたか」「未然防止のため何ができたか」といった質問項目も記載し、教員同士の自発的な意見交換から意識改革につなげる狙いだ。ワークシート集は府立高校と支援学校のほか、府内の市町村教育委員会に送り、新たな不祥事が発覚すれば更新も検討する。

 対策を急ぐのは、処分を受ける教職員が全国で最多レベルに上るためだ。

 文部科学省によると、わいせつ行為などで懲戒・訓告処分を受けたのは平成29年度は大阪府が20人と都道府県別で最多で、30年度はワーストの東京都(33人)に次ぐ23人だった。体罰を理由とした処分は、都道府県別で最多の福岡県の27人に迫る19人。政令市別では大阪市の71人が、2位の仙台市の19人を大幅に上回っている。

 府の対策について、法政大の尾木直樹名誉教授(臨床教育学)は「現状を何とかしようという気持ちは分かる」と評価。一方、「現場の教員は仕事に追われて短時間の研修を行う余裕もなく、視野が狭くなっているのが実情だ。なぜ大阪で教職員の不祥事が続発するのか、専門家を交えて分析しなければ解決策は見つからない」と指摘した。

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