ヘルスケア

移植のドナーと患者をSNSで特定 「匿名性」守れぬケース相次ぐ (1/2ページ)

 骨髄や臓器の提供者(ドナー)と、移植を受けた患者(レシピエント)の情報が相互に伝わらないようにする「匿名性」の維持は、移植医療において最も重要な原則の一つだ。しかし近年、インターネットの発達や会員制交流サイト(SNS)の利用者拡大により、原則が崩れかねないケースが相次いでいる。移植の橋渡し役である日本骨髄バンクや日本臓器移植ネットワークは対応に苦慮している。

 「『手紙交換制度』におけるSNS等への掲載防止対策を強化」

 骨髄バンクが毎月発行するニュースレターの1月15日号に、こんな見出しの一文が掲載された。

 骨髄バンクは従来、住所や氏名など個人を特定できる情報が含まれないことをバンクが確認した上で、移植後1年以内に患者とドナーが2回まで手紙を交換することを認めてきた。

 しかし近年、届いた手紙の画像を筆跡や内容が読み取れる形でブログやSNSに掲載したり、テレビで紹介したりする人が増えた。書いた本人や家族が目にすれば「私に提供してくれたドナーはこの人」と、あるいはその逆でも、容易に分かってしまう。このままでは匿名性を守れない。

 やむを得ず今後、患者側については登録時の同意書に「SNS等に掲載/公開しない」という項目を追加、ドナー側についても、掲載や公開をしない旨の承諾書を提出してもらった上で患者からの手紙を渡すように制度を変更した。

 削除を要請も

 「特に患者が子供の場合、拙(つたな)いながらも一字一字懸命に感謝の気持ちを書いてくる。受け取ったドナーのうれしさはよく分かります。逆に患者がドナーからの手紙を受け取れば、その後の治療に臨む勇気にもなる。交換制度を存続させたいからこその変更です」と折原勝己ドナーコーディネート部長は話す。

 なぜ匿名性が重要なのか。骨髄などの提供はドナーの自由意思による善意の行動だ。しかし互いの身元が分かると、提供の対価を求めるようなトラブルが生じかねない。海外では、宗教の勧誘につながったり、病気の再発時に患者が直接ドナーに再提供を求めたりした事例もあったという。

 だが、ネット上を見渡せば、文面を写した画像がいくつも見つかる。筆跡が不鮮明でも、便箋が特徴的であれば、これも特定に結びつく。

 こうした掲載を見つけた場合は削除を要請するが、「本来『私信』なので強制もできない。あくまでもお願いベースです」と折原さん。しかし、応じてもらえないこともあるという。

 ブログに日付

 事情は臓器移植でも同じだ。

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