ヘルスケア

仮死状態で生まれた新生児の蘇生技術、遠隔地でも訓練可能に 京大などが開発

 仮死状態で生まれた新生児を救う新生児蘇生法について、訓練設備が十分に整っていない遠隔地でも学習できるシミュレーターを開発したと、京都大や立命館大などの研究グループが12日、発表した。来年度末をめどに、出産に関わる国内の診療所や看護学校など約3500施設に設置したいとしている。

 国内では、出産直後に呼吸が不安定になるなどして仮死状態となる新生児が約15%いるとされる。一方、高度の蘇生技術を有する医療者が総合病院に集中するなど配置に偏りがあり、技術向上に必要な訓練の設備や機会の不足も課題となっている。

 開発したシミュレーターは、センサーを内蔵した特製の聴診器や独自のスマートフォン向けアプリを組み合わせて使用。従来の訓練で用いられる新生児の人形に聴診器を当てると、指導者がアプリで設定した心拍数の心音が聞こえ、学習者が蘇生行動が必要か判断する。

 聴診器以外は既存の設備を使うため導入コストは安価。これまでは指導者が机をたたく音で心拍音を伝えるなどしていたが、その方法よりも高い訓練効果が期待でき、テレビ電話機能を利用することで遠隔講習の実施も可能になる。

 京大病院の岩永甲午郎(こうごろう)助教(小児科)は「新生児蘇生の地域格差を是正できるのでは」としている。

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