ヘルスケア

クルーズ船検疫官感染、安全管理は適切だったか 初動対応の不手際浮かぶ

 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で、男性検疫官の新型コロナウイルス感染が12日、判明した。水際対策の最前線に立つ検疫官の「船内感染」ともいえる異例の事態に、厚生労働省は感染防御策に不備がなかったかの調査を進めている。乗員にも日増しに感染の広がりが見られ、厚労省の初動対応の不手際が浮かび上がる。

 厚労省によると、検疫官は今月3日夜から4日夜にかけ、船内で乗客の部屋を回り、健康状態などを記入してもらった質問票を回収し、体温測定を担当した。5~7日は検疫所で通常勤務につき、9日に発熱したため、10日に医療機関を受診し感染が確認された。

 船内で感染した疑いが強いが、厚労省は感染防止のため「世界保健機関(WHO)の指針に基づく標準的な手順を順守していた」と説明。船内ではマスクや手袋を着け、作業ごとに手指の消毒を徹底していたという。

 ただ、防護服やゴーグルは着用していなかった。山野美容芸術短大客員教授で医学博士の中原英臣氏は「患者と接する恐れのある船内では、検疫官に厳重な防御策を講じて作業に当たらせる必要がある。国の対応は後手に回っている」と批判する。

 厚労省は、検疫官から感染が広がった可能性は低いとみているが、家族や同僚ら濃厚接触者の追跡調査を実施するという。

 一方、12日に新たに感染が判明した39人のうち10人は乗員だった。生活環境などから乗員の間でウイルスが拡散された可能性も指摘される。クルーズ船に詳しい相模女子大の湧口清隆教授(交通経済学)は「乗員の居室は船底近くで窓のない部屋が多い。相部屋で過ごす乗員の生活環境や勤務形態を考慮すると、乗員間で感染が広がっても不思議ではない」と強調した。

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