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新型肺炎、流行宣言は出るのか 定点観測への切り替えが転換点

 肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの国内感染は広がりを見せているものの、政府は「流行宣言」を出していない。あくまでも「発生早期」の段階という認識だ。過去の新型インフルエンザでは国内感染確認から約3カ月後に流行を宣言した。社会を混乱に陥らせずに警鐘を鳴らすには、どの段階で宣言すればよいのか。政府は厳しいかじ取りを強いられている。(中村智隆、坂井広志)

 「専門家会議は『早期』という判断だった。急激に拡大していくということなので、その可能性をしっかり認識した対応が必要だ」

 加藤勝信厚生労働相は17日の衆院予算委員会で、こう強調した。政府の専門家会議で座長を務める国立感染症研究所の脇田隆字(たかじ)所長は、SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)に比べて「無症状や潜伏期の患者から感染する可能性があり、感染を止めるのは難しい」と語る。

 13日に国内で初めて感染者の死亡が確認され、北海道や千葉、神奈川、愛知、和歌山各県などで感染経路が不明な事例が相次ぐ中、加藤氏は15日の記者会見で「これまでとは状況が異なる」とやや踏み込んだ言い回しをしたが、「流行」とは認めなかった。

 では、どのような状況になれば「流行」になるのか。平成21年から猛威を振るった新型インフルエンザでは、初の国内感染を同年5月に確認。その後、感染は急拡大し、厚労省は患者の全数把握を中止して、全国約5千カ所の定点医療機関からの報告で事態を把握するよう切り替えた。

 同年8月19日、舛添要一厚労相(当時)は、1施設当たりのインフルエンザの患者数が全国平均で0・99と流行期を意味する「1」に近づき、その大部分が新型インフルエンザの患者と考えられることから、「本格的な流行がすでに始まっている可能性がある」と明記した文書を出した。事実上の流行宣言だ。

 新型コロナウイルスでも同様の対応になる可能性があり、そうなると、定点観測への切り替えのタイミングが流行宣言に向けた大きな転換点となる。流行宣言が出されれば、重症患者数の増加に対応するための病床確保や、重症患者の救命最優先とする診療体制の充実、基礎疾患のある人の感染防止対策の強化などを徹底することになりそうだ。

 ただ、厚労省幹部は「新型コロナウイルス感染症は全体像がまだ見えていない。何をもって流行とするのか判断がなかなか難しい」と語っている。

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