オーダーブックで読み解く外為市場

ドイツ政局不安の影 新型肺炎の感染拡大で経済への悪影響懸念も強く (1/2ページ)

 先週前半の為替相場は、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大に関して、警戒感がやわらぎ、安全資産とされる円が弱い推移となりました。しかし、週末にかけては、中国で認定基準の変更により、感染者数が大きく増加したことや、中国以外の国でも感染拡大が続いていることなどから、再び警戒感が強まり、円が買い戻される展開となりました。

 今週も引き続き新型肺炎に関する報道に注意が必要となりそうです。中国内の感染者数のほか、本邦をはじめとする中国以外の国における感染拡大状況により、経済への悪影響への警戒感が強まる可能性が考えられます。

 ただし、被害拡大といったネガティブな報道だけではなく、効果のある薬の発見、また、感染被害拡大の影響による景気減速を和らげるための各国の政府、中央銀行の政策の発表といったポジティブな材料にも注意が必要と考えられ、最新の報道に注目したいところです。

 また、ドイツの中道右派与党「キリスト教民主同盟」(CDU)のクランプカレンバウアー党首が辞意を表明し、来年秋に任期を終えるメルケル首相の「禅譲シナリオ」が白紙になったことに伴う政局不安、景気減速懸念がユーロの上値を圧迫する状況が続いています。今週はドイツでZEW景況指数、PMI(購買担当者景気指数)の速報値など景況感に関する経済指標の発表が予定されており、冴えない結果となると、ユーロ売りの材料となる可能性があります。

 このほか、英国の欧州連合(EU)離脱に伴う自由貿易協定(FTA)交渉にも引き続き注目が集まりそうです。不透明感が強まるようであれば、ポンドやユーロの上値を圧迫する材料と考えられます。 

 1米ドル=109.50-110.30円の価格レンジに注目

 では、世界中に顧客を持つ外国為替証拠金取引(FX)会社のOANDA(オアンダ)が提供するオーダーブックで外国為替市場の動向を探ってみましょう。

 オーダーブックはOANDAの顧客の取引状況を公開したデータです。顧客の保有しているポジションの取得価格の水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンポジション」と、顧客の未約定の注文の価格水準(縦軸)と割合(横軸)を示す「オープンオーダー」の2種類のデータから成ります。

 ちなみに、ある通貨を買っている状態を「買いポジション」、売っている状態を「売りポジション」といいます。買いポジションを保有している場合、その通貨の価格が取得価格から上昇したら収益が上がり、逆に下落すると損失が発生します。売りポジションを保有している場合は、取得価格から下落すると収益が上がり、上昇すると損失が発生します。FXでは、それぞれのポジションとは反対の売買を行って決済(損益の確定)をする仕組みとなっているからです。

 先週のドル円は、序盤こそ底堅い推移となり、1米ドル=110円を超える動きとなりましたが、後半は失速し、109円台に押し戻される展開となりました。

 OANDAのオープンポジションを見ると、徐々に値動きが収縮するような動きとなっていることもあり、昨年末から滞在時間が比較的長い1米ドル=109.50-110.30円の価格レンジ内で構築されたポジションが多くなっています。

 このため、この価格レンジを上下に抜けるような動きとなると、売買のいずれかのポジションの損切り注文(損失拡大を防ぐための決済注文)が増えることが想定され、抜けた方向に動きが出てくる可能性を見出すことができます。

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