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「興行収入最高」から一転 映画館を襲ったコロナ禍

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う東京都の外出自粛要請を受けて、東京や神奈川、埼玉の大型映画館が先週末の営業を休み、この週末も同様だ。新型コロナの影響はあらゆる経済活動に及んでいるが、映画は昨年、過去最高の興行収入(興収)を記録したばかり。定着しかけた「映画館で観(み)る習慣」が中断されることに懸念の声が上がっている。(水沼啓子、石井健)

 TOHOシネマズなどの映画館大手は、3月28、29日、1都2県の映画館を休んだ。東京都の外出自粛要請などに応じたものだ。複数スクリーンを有するシネマコンプレックス(シネコン)が新型コロナへの対応で営業を休止したのは、これが初めてだ。

 シネコンは、2月26日に首相が全国規模のイベント開催の自粛を求め、音楽や舞台公演が相次ぎ中止・延期となった後も休まず営業を続けた。

 その理由を「法に基づいて換気の設備が整っている。また、観客全員がスクリーンを向いている上、歌ったりしゃべったりすることもないから」と関係者は説明していた。

 だが、一方で「映画ドラえもん のび太の新恐竜」など家族向け作品や「ブラック・ウィドウ」など米ハリウッド大作が続々と公開を延期した。また、感染防止のため座席の間隔をあけてチケットを販売する映画館もあり、3月の週末の興収は、昨年を大きく下回っているとみられる。

 週末の休館の対応が加わり、映画関係者からは「映画館で映画を観る習慣が失われるのではないか」という懸念の声が上がり始めている。

 日本の映画興行は昨年、過去最高の興収を記録。映画業界は、主な要因として「映画館で映画を見る習慣が定着したから」と分析したばかりだった。

 映画会社などで構成する日本映画製作者連盟(会長・岡田裕介東映会長)が1月、東京都内で記者会見して発表した昨年の興収は、2611億円。観客動員は約1億9千万人で目標の2億人にあと一歩と迫った。会見に出席した映画各社の社長たちは、「映画にとって良い年」「素晴らしい1年」「満員館続出」など明るい言葉で昨年を総括した。

 岡田会長は昨年の好調について、「シネコンを身近なものとして育った20代を中心に、映画は映画館で観るという習慣が定着した」と分析。各社の社長は「CDや音楽配信よりもライブの市場規模を伸ばしている音楽業界と同様、“コト消費”の潮流が後押しした」と口々に語っていた。

 この流れは今年も続く、と読んでいた映画業界に突然の大逆風。しかも、終息の見通しが不透明とあって、早くも今年の興収に暗雲が漂っている。

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