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首都圏の3県も街は様変わり 緊急事態宣言1週間

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、安倍晋三首相が緊急事態宣言を発令してから14日で1週間となった。宣言の対象となった首都圏の神奈川、埼玉、千葉の3県でも繁華街などの人出が宣言前よりも減り、街は様変わりした。事態の収束が見通せない状況に、飲食店の経営者らからは不安の声も上がっている。

 NTTドコモの分析結果によると、宣言後初の日曜日となった12日の人出は宣言直前の日曜日だった5日と比べ、さいたま市の大宮駅周辺は30・5%減、横浜市の横浜駅周辺は25・7%減、千葉市の千葉駅周辺は14・8%減となった。

 いずれの地域も、昨年11月の休日と比べると6~8割程度も減少。今月5日と比べた減少幅が小さかったのは、既に休日の外出を控える人が多くなっていたのが理由とみられる。

 「東日本大震災のときよりも深刻な状況。先が見通せない中、どれだけの店が生き残れるか…」。神奈川県随一の繁華街、横浜中華街(横浜市中区)で周辺の店舗に酒を卸している安田屋酒店の店主、安田利幸さん(47)は客足の減少に危機感をあらわにする。

 宣言を受け、県は東京都に同調して急遽(きゅうきょ)、休業要請に踏み切った。飲食店の営業時間は午前5時~午後8時、酒類の提供は午後7時までとする要請が出た後、中華街のほとんどの店舗が臨時休業を決め、街の姿は一変した。「売り上げは8~9割減った。風評被害で1月頃から街の客足は既に減っていたが、追い打ちだ」と安田さん。

 黒岩祐治知事は14日、休業要請に応じた事業者に10~30万円の支援金を支給する方針を決めた。安田さんは「休業すれば支給するというが、取引先が営業している限り、うちは休めない。より幅広い助け舟が必要なのではないか」と疑問を呈し、「つぶれる店が今後続出する可能性もあり、事態が収束しても街は立ち直れなくなる」と懸念を隠さない。

 埼玉県の大野元裕知事は14日の記者会見で、大宮駅の利用者減を例に挙げ、県の外出自粛要請が「一定の成果が出ている」との見方を示した。3月後半に確認された県内の感染者のうち約4割は東京都内で感染しており、大野知事は「電車の利用が少なくなるのは埼玉にとって重要なポイント。今後も継続して協力をお願いしたい」と訴えた。

 千葉県は14日から、ホテルや映画館などに休業を要請。これに先立ち、千葉市内で20数年にわたって営業してきたバーは13日から自主的に5月6日までの休業に入った。

 70代の女性経営者によると、客足は3月下旬ごろから大幅に減少。「びっくりするぐらい減り、1日2組ぐらいのときもあったが、都内から来てくれるお客さんもいて、予約などもあったので頑張って営業してきた」と話す。

 休業せざるを得ない同業者らとも連絡を取り合いながら、危機的な状況を乗り越えるための対応策を考えているという。

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