ヘルスケア

家族の体調もチェック 今も「クラスター」風評被害に悩む介護施設

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、高齢者向けの介護事業所が窮地に立たされている。利用者との接触が避けられず、クラスター(感染者集団)発生の懸念から休業を余儀なくされる施設も。一方で介護を必要とする人たちにとっては、簡単に替えのきかない特別な場所でもある。感染リスクと使命感のはざまで、ぎりぎりの運営が続いている。(古野英明)

 兵庫県伊丹市の介護施設「グリーンアルス伊丹」。3月7日に利用者1人の感染が確認されて以降、別の利用者や職員、その家族ら計約60人の感染が確認された。4月9日に休止していたデイケアサービスを再開してからは、感染防止対策が奏功し、現時点では新たな感染者は出ていない。

 最も注意を払っているのは、利用者と家族の健康チェック。「利用前々日と前日の2日間、本人や家族に37度以上の発熱、症状がないこと」を利用基準に設定し、新たに家族の体調も要件に加えた。職員についても同様に家族の健康状態のチェックを義務付けた。

 また、以前は最大3人同時に行っていた入浴サービスを現在は1人ずつ行っている。同施設の塩田真一郎事務長は「直接体に触れることが避けられないサービス。入浴の前後に双方の手指や器具を消毒したり、同じタオルを使い回したりしないよう気をつけている」と話す。

 マスク着用や手洗い・手指の消毒はもちろん、2時間に1回、10分間の換気を行う▽同一時間帯の最大利用者を制限する▽テーブルには同一方向に向かって座り、間隔をあけて利用者同士の密着を避ける-などの対策も実践している。

 それでも、つきまとうのが風評被害だ。デイケアサービス休止中、利用者の多くは他の施設から受け入れを断られ、同施設の職員が自宅を訪問するなどして対応してきた。再開後も施設名の入った送迎車に、冷ややかな視線を向けられることが少なくない。

 ある職員はPCR検査で陰性だったのに、家族が会社から出社停止を命じられた。別の職員の家族は手術を延期させられたという。

 「風評被害はおさまってきてはいるが、世間の認識はまだ『クラスターが出た施設』。サービスを必要とする利用者がいる限り、施設を閉じるわけにはいかないが、不安は今でもぬぐえない」と塩田事務長は苦悩を口にした。

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