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米有識者が時期尚早な経済再開に警鐘 ファウチ氏「制御不能の感染リスク」

 米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は12日、経済活動の時期尚早な再開は新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大を再び起こしかねないと警告した。

 上院厚生教育労働年金委員会の公聴会で証言したファウチ氏は、経済活動再開が安全かどうかを判断する手掛かりとして、トランプ政権のガイドラインで示された「チェックポイント」を達成しないまま、州や市が経済活動を再開させることに懸念を表明した。

 「私の感触ではそのようなことが起きれば、それが引き金となって、制御できないような爆発的な感染拡大が起きる現実的なリスクがある」とファウチ氏は指摘。「実際、逆説的ではあるが事態は後退する。避けられたはずの苦痛や死につながるだけでなく、経済回復に向けた道筋を逆行することにさえなりかねない。そうなれば時計の針を前に進めるのではなく、過去に戻すことになる」と警鐘を鳴らした。

 ファウチ氏の注意喚起は、事業活動の再開や経済を圧迫する制限措置の緩和を急ぐトランプ大統領と対立するものだ。ファウチ氏が言及したチェックポイントは、14日間での確認症例ないしウイルス検査の陽性件数の「下向きの軌道」など、段階的な再開に向けた一連の手順を求めている。

 今年の大統領選の民主党候補者指名獲得を目指していたサンダース上院議員は公聴会で、トランプ大統領がパンデミック(世界的大流行)のリスクを「軽視」し、はっきり意見を述べた当局者に報復したと指摘した。感染により米国で約8万人が死亡したとの公式推計に同意するかとサンダース議員から尋ねられたファウチ氏は、「われわれの多くは死者数が恐らくもっと多いと感じている」と述べ、「もっと多いことはほぼ間違いない」と付け加えた。

 ファウチ氏はまた、パンデミックを「もっと上手に制御できるとしても」、秋に新たな流行が発生する可能性があるとの見解も示した。

 感染拡大の初期に検査で陽性反応が出た共和党のポール上院議員は、「子供たちをさらに1シーズン、学校に行かせない場合」には貧困層の子供たちがまた1年、学習しないことになると述べた。

 これについてファウチ氏は「子供たちがウイルスの有害な影響に対して完全に免疫力があると無神経に考えることのないよう注意すべきだ」と答えた。また、一部の子供で観察された「奇妙な炎症性症候群」を含め、ウイルスについて多くのことがまだ解明されていないため、米国は慎重になるべきだと指摘した。(ブルームバーグ Laura Litvan、Justin Sink)

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