暮らし替えの道しるべ

50 高齢者の新しい日常

 今年は新型コロナウイルスの感染拡大によって、ソーシャルディスタンスという言葉が会話に入り込みました。この数カ月で新しい日常へとタイムスリップしてしまったようです。今まで当たり前のように向かい合って笑い、食事をしたりお酒を飲んだりしていた日常が、特別なことになってきています。

 どう行動することが正解なのか手探り状態ですが、私が一番心配しているのは、高齢者の住まいです。

 以前、天井にまで届きそうなくらい高く積まれたごみの中で生活をしていた高齢の方の片づけのお手伝いにうかがったときのことです。初めは玄関先で入室を拒否されました。娘さんが説得するとやっと入室することができました。何日もかけて一緒に片づけをしながら、話をしていくと、表情が少しずつ柔らかくなり、心を開いてくれるようになりました。そうして荷物が少なくなり、部屋の電気のスイッチが現れ、照明がついたときはみんなで歓声をあげました。

 高齢者世帯では、どうしても荷物が増えてしまいます。このお宅では、そばにいて、気にしてくれる娘さんがいたからこそ生活が改善できたのでしょう。

 コロナ禍で高齢者は運動不足になり、人とのコミュニケーションが取れず孤立化しやすくなっています。そして、身体も気力も衰えると、日常の暮らしそのものを維持することが困難になってしまいます。

 周りが気にかけて、ビデオ通話などオンラインでやりとりをしてもいいですし、毎日決まった時間に電話してもいいかもしれません。離れていてもつながりを持つことが、新しい日常では求められているのではないでしょうか。

(日本ホームステージング協会 代表理事 杉之原冨士子)

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