趣味・レジャー

アイヌ文化復興へ 「ウポポイ」活気回復に地元期待

 12日に開業した国立のアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」への地元の期待は大きい。北海道白老町では半世紀前、アイヌの土産「木彫り熊」が飛ぶように売れた時代がある。しかしブームは去って久しく、新型コロナウイルスの影響も影を落とす。町に活気が戻ればと願う住民は少なくない。

 自然観察や木彫りの観光サービスを同町で提供する「体験工房コロポックル」。毎年6月に修学旅行などで千人程度を受け入れていたが、今年はゼロ。

 運営会社「協業民芸」の斉藤孝延社長(41)は「アイヌ文化に旅行代理店が興味を持ち、客が増え始めた矢先」と肩を落とす。

 修学旅行は秋に再開され、鮭(さけ)の皮でアイヌの靴を作るプログラムなどを準備しているが、社会的距離を確保するため「受け入れできるのは従来の半数程度」という。

 白老町のポロト湖畔などが観光客でにぎわったのは昭和30~40年代だ。40年当時の様子が町教委発行「ポロト湖物語」に「さまざまな種類の木彫り作品などを扱う土産品店が軒を連ねる」と描かれている。

 ウポポイの前身となる博物館が59年に開館。平成3年には入館者数87万人を記録したが、近年は20万人程度にとどまり、木彫りの店や作り手は減少した。

 協業民芸は戦後、アイヌ男性が創業。かつて大量に製造・販売した木彫り熊の扱いを縮小している。

 明るい話題もある。菅義偉官房長官が記者会見でアイヌ文様の刺繍(ししゅう)入りマスクを着用し、注目を集めた。町の新たな観光案内施設でも地元の工芸品を集めた物販コーナーが好評という。刺繍サークル「フッチコラチ」(「おばあさんのように」のアイヌ語)が制作したアイヌ文様のネックストラップも商品の一つだ。

 1本1650円。手仕事のため、メンバー15人で月150本が精いっぱいだが、代表を務める北海道アイヌ協会認定優秀工芸師、岡田育子さん(71)は「アイヌ文化が大勢の目に留まる。身に着けている人を見かけるとうれしい」と喜ぶ。

 アイヌ文化を今の生活に生かしたいと活動を続ける岡田さん。「アイヌに限らず町民がアイヌ文化を誇りに思うことで、訪れる人へのおもてなしにつながる。若い人に引っ張ってもらえたら」と、アイヌ文化の浸透に期待を込める。

 アイヌの人々は、独自の文様を持つ刺繍や木彫りなどの工芸を発展させた。しかし、今年2月の北海道の調査報告書によると、アイヌ工芸品の市場規模はバブル期をピークに縮小した。報告書は、工芸の店舗と担い手が不足していると指摘。白老について「店舗集積を復活できるかどうか」を重要課題に挙げている。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus