書評

『お肴春秋』辰巳芳子・著 料理通して日本の文化つづる

 著者は95歳。鎌倉に暮らし毎日のように包丁を握り、主宰する料理教室で和洋を問わぬ料理を教授する日々を送っている。本書は「酒の肴(さかな)づくりは、文化を生きる人間の、もっとも洗練された表現行為」という著者が、酒肴という切り口で、やさしく(易しく・優しく)作れる料理を紹介しながら、日本の繊細で多彩な食文化をつづった歳時記だ。

 登場するのは菊の甘酢漬け、蕗みそ、鰹のたたき…。唾液が込み上げてくる。人間の身体は食べるものでつくられ、精神は食べるものに左右される。口福こそが幸福の源泉だとしみじみ思う。(岩波書店、1800円+税)

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