ヘルスケア

コロナワクチン「第2世代」も期待 スピードより長期的価値

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を終わらせるためのワクチン開発で重要なのはスピードだけではない。多くの企業や大学は、開発競争で最初にゴールすることはないであろうワクチンにも可能性を見いだしている。そうした「第2世代」のワクチンはより多くの感染を予防し、持続的な免疫力を提供し、高齢者や健康弱者を守り、世界各地で大量供給を実現する可能性がある。これらの利点は先駆的ワクチンには提供できないかもしれない。

 投与1回で高い効果

 「ウサギかカメか。われわれが使い始めるワクチンが理想的ではなく、後から別のワクチンに移ることもあるかもしれない」

 ワクチン接種を推進する国際非営利団体ガビのセス・バークレー事務局長はこう指摘する。

 新型コロナワクチンの開発で先頭集団を追いかける企業の中には、仏サノフィや英グラクソ・スミスクライン、米メルクなども含まれる。これらの企業はワクチン候補のヒトへの臨床試験には着手していないが、50万人を超える死者が出ている新型コロナの感染を食い止める有力な候補として浮上している。

 医療慈善団体ウェルカムでワクチン部門を統括するチャーリー・ウェラー氏は「今は全てが検討段階だ。あまりにも課題が多いため、一部のワクチン候補は脱落する可能性がある。だからこそ、われわれには複数のアプローチが必要なのだ」と語った。

 最近の米国での感染再拡大は、新型コロナと闘うには信頼できる治療薬やワクチンが必要であることを再認識させるものだ。

 ガビのバークレー氏はインタビューに応じ、一部のワクチンについて「実証済みの方法をベースにゆっくりとしたペースで開発が進んでいる」と指摘したうえで「それらのワクチンは1回の投与で有効であったり、他にも使いやすい特徴があったりする可能性がある。強固な免疫が証明されているのであれば、従来のワクチンの一部は特に魅力的かもしれない」と述べた。

 その一例が、エボラウイルスに対する単回投与で高い効果があったアプローチを基にするメルクのワクチンだ。年内にヒトへの治験に入るとされる同ワクチンは新型コロナに対する長期的解決策の一部になるかもしれない。同社のフレージャー最高経営責任者(CEO)はインタビューで、ワクチンがパンデミックだけでなく、特定地域で周期的に流行するエンデミックにも対応することを望んでいると語った。

 予防接種の量を削減

 グラクソは独自ワクチン候補を開発するのではなく、体内の免疫反応を高める「アジュバント」をサノフィなどに提供することで、新型コロナワクチンの開発に貢献する。この技術を利用すれば1人の予防接種に必要なワクチンの量が減り、供給量が増えることになる。サノフィは臨床試験の初期段階と中間段階を圧縮した試験を9月に開始する見込みだ。

 グラクソのワクチン部門で最高医療責任者(CMO)を務めるトーマス・ブロイアー氏は、ワクチン候補の「いくつかは失敗し、多分1つか2つは成功するだろう。長期的な価値を考えれば、最速が常に最善であると決めてかかるべきではない」と述べた。(ブルームバーグ James Paton)

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