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全面閉鎖で今年は「眺める富士山」に 麓での観光注力 (1/2ページ)

 例年なら登山道に人波があふれるシーズンを迎える富士山だが、今年は様相が一変、人の姿がない。新型コロナウイルスの影響で、記録が残る限り史上初の登山道閉鎖に至ったからだ。しかし、霊峰・富士山は信仰と憧れの対象であり、登山を強行する者が現れないともかぎらない。登山道を抱える静岡、山梨両県は「今年は山に登らず、下から拝んで楽しんでほしい」と入山自制を促す。遭難救助を担う両県警も「負傷しても救助は困難」と登山しないよう強く呼びかけている。

 感染、遭難を憂慮

 「登山道は常に密集している状態で、山小屋は密を避けにくい。万が一、富士山で感染者が発生したら対応が難しい」。登山道3ルートとそこに至る3県道を全て閉鎖する決断をした静岡県の担当者はこう強調する。毎夏、富士山の狭い登山道はすれ違うのが難しいほど混雑する。

 今夏はコロナ禍で静岡、山梨両県から山頂へつながる登山道全4ルートの入り口にバリケードが築かれた。静岡県側では5合目に通じる3県道が通行禁止に。閉鎖の理由は、登山道や山小屋での濃厚接触が避け難いからだけではない。遭難者や感染者への対応が地域医療に負担をかけることへの憂慮が大きい。

 登山客が宿泊し食事ができる山小屋は両県側とも一斉休業している。山小屋関係者が通行しないため登山道は整備されていない。落石の危険性がある上、標識もなければ、案内人もおらず、きわめて危険な登山となる。

 山梨側は5合目まで

 例年、十分な休憩を取らない弾丸登山客が後を絶たない。今夏も無理やり入山する強行登山者が出るのではとの懸念は拭い切れず、不測の事態に備えて、御殿場口7合目の山小屋「わらじ館」が立ち上がった。館長の橋都(はしづめ)彰夫さん(61)らが交代で約1カ月間、山小屋を拠点にパトロールを実施する。

 山小屋は営業しないが、登山者を見かけたら声をかけ、道に迷ったり、けがをしていたら緊急避難所として提供する。橋都さんは「特に事情を知らない外国人が登ることが考えられるので、小屋を開けておくだけでも意味がある」としながらも「今年だけは我慢して登らないでほしい」と訴える。

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