趣味・レジャー

「密」避ける夏に戸惑い お盆休み始まるもいまだ模索続く

 本格的な夏が到来した。例年ならお盆休みの始まりとともに、レジャーや古里への帰省で多くの人々が国内外を移動し、各地で夏を楽しむ姿が見られるが、今年は新型コロナウイルスの影響で様相は大きく変わっている。海開きをしない海水浴場や、営業時間を短縮する観光スポット…。近畿2府4県は帰省自粛を求めないとする一方、感染防止のために細心の注意を払うよう訴えている。「密」を避けつつ、夏を楽しみ、地域の経済を回すにはどうしたらいいか。今も模索が続いている。

 「およがないで!」

 関西屈指の海水浴スポットとして知られる神戸市須磨区の須磨海岸。しかし、今年は新型コロナの感染防止のため市が海水浴場の開設を中止したため、快晴に恵まれた7日も海辺の人影はまばらだった。

 例年なら海水浴客でごった返し、カラフルなパラソルで埋まっているはずの砂浜には、「遊泳はご遠慮ください」「うみでおよがないで!」と書かれた海難事故防止のための看板が鎮座している。

 もっとも、わずかながら水着姿の若い男女や、ボードを使ったマリンスポーツを行う人の姿も。神戸市長田区から訪れた主婦(43)は、水着姿で浅瀬で遊ぶ小学4年の長女(9)を見つめながら「自粛が求められているのも分かっているが、家族旅行も中止にした。集客施設と違って海水浴なら屋外。娘にはせめて海で、夏休みを楽しませてあげたかった」と話した。

 難しいかじ取り

 当初予定より2カ月以上遅れの7月23日に海開きした和歌山県白浜町の白良浜(しららはま)では、地元関係者が海水浴客増加に伴う感染拡大の警戒を強めている。

 海開き以降、海水浴客同士の間隔をあけるようスピーカーや看板で呼びかけているが、砂浜などでは一部で密集・密接に近い様子もみられ、巡回する警備員が口頭で注意を促している。

 「8日以降は、さらに徹底するよう求めたい」と町観光課の担当者。一方で「多くの人が来て密集になるのも困るが、人が少なく経済波及効果がないのも困る。難しいかじ取りだ」と本音も聞かれた。

 白浜観光協会の藤田正夫会長は「(お盆シーズンが)この夏の最盛期だが、警戒もしている。宿泊施設に予約がたくさん入る中、細心の注意で受け入れ態勢を整えたい」と話す。

 客足が戻らない

 大阪のシンボル・通天閣(大阪市浪速区)がそびえる新世界も、観光客でごった返しているいつもの夏の姿はない。

 通天閣を運営する「通天閣観光」によると、感染防止対策として入館時にはサーモグラフィーで検温を実施し、マスクを忘れた客にはマスクを配布。消毒液の設置や展望台にのぼるエレベーターの定員数を減らすなどの対策を取っている。

 しかし、客足は戻らない。6月の来場者は昨年より約8割減少。7月はさらに悪化し、9割近くまで減った。8月は1年を通じて最も客足が多く、例年なら1日に4千~5千人が来場するが、今年は200人程度にまで落ち込んでいる。コスト削減のため、17日からは営業時間を2時間短縮するという。

 同社の高井隆光社長(45)は「コロナウイルスの感染者は増える一方で、先が見えず途方に暮れている。厳しい状況だが営業は続けるので、少しでも足を運んでいただきたい」と訴えた。

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