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厚労省「首相代わっても対策変わらない」 コロナ対応で冷静な受け止め

 新型コロナウイルス対策の最前線にいる厚生労働省。これまでマスクや治療薬などをめぐる“首相案件”に振り回されてきた。第2波がいまだ収束せず、秋以降にインフルエンザとの同時流行が懸念される中での辞任劇に、「首相が代わってもコロナ対策の大枠は変わらない」と冷静に受け止める声も聞かれた。

 「政策にスピード感があり、求心力があったので、こういう形での辞任は大変残念」。首相退陣を受け、厚労省の若手職員はこう漏らした。ただ、「コロナ対策では省内に官邸の意向をくんだ政策が重視されてきた印象がある」という。

 首相肝いりの布マスクの全戸配布は、配布完了の頃にはマスク不足も解消。PCR検査能力は伸び悩み、第1波では検査拒否が相次いだ。「5月中の承認」を目指すとした治療薬「アビガン」は、いまだに有効性が確認されていない。“失策”の度に、厚労省は批判の矢面に立ってきた。

 中堅幹部は「『アベノマスク』や一斉休校は場当たり的で、政権として末期的だったと思う」と話す。「体調悪化なら仕方がない」と辞任表明に理解を示しながら、「コロナ対策は総理が代わっても大枠の方針が転換されるものではない」と冷ややかに語った。

 政権が重要視する感染防止と経済活動の両立も先行きが見えない。別の中堅職員は「秋になれば臨時国会で野党の追及が避けられない。感染状況が比較的落ち着いてきた今が辞任のタイミングだったのかもしれない」と推測した。

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