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モナリザも切り取られた? 絵画の「服」の役割とは (1/2ページ)

 美術館や画廊で絵画を見ていて、違和感を覚えることはないだろうか。そうした場合、原因は額であったり表装であったりすることがある。額や表装は、洋画や日本画の衣服や着物のようなもの。顔かたちに合わないものをまとうと、中身が浮いてみえたり、みすぼらしく見えることもある。同じことが絵画にも起こるわけだ。絵を生かすも殺すもフレーム次第。額と表装について、考えてみよう。(正木利和)

 骨董的な意味

 一昨年の秋、「フェルメール展」の事前取材でドイツに出かけたときのこと。ドレスデン国立古典絵画館のなかを見て回っていると、フェルメールやレンブラント作品のコーナーを過ぎた一画に、いろんなサイズの古めかしい額だけが壁一面にかかっている場所を見つけた。

 絵画を縁取る額だけを、まるで絵画と同じように飾ってみせているということは、彼らがそれだけ額というものを大切に扱っているということなのだろう。

 「実際、欧州では額だけのオークションというのもあります。16世紀のものなど、すごい値がつくそうです」と、大阪市西区でエコール・ド・パリ(パリ派)などの絵画を中心に扱う画廊「ジェイドギャラリー」の代表取締役、井上勝之さんはいう。

 絵画の歴史は額の歴史でもある。初期ルネサンスのころ、絵画は教会の祭壇をかざる家具の一部だった。時代が下るにつれ、個人の邸宅で絵がかざられるようになって、四角い形式の額が登場してくる。

 「ルネサンスのころの額はイタリアの家具職人が精魂こめてつくっていて装飾も豪華。金箔(きんぱく)なども純度の高いものを使っているため、経年変化をしても美しさを保っています」と井上さんはいう。

 こうして16世紀イタリアで原型がつくられた額縁は、17~18世紀のフランスで円熟期を迎えることになる。たとえば「ルイ13世様式」などと呼ばれる装飾豊かで金ぴかのいわゆる「ルイ式」の額である。荘厳なバロック調の絵画ならルイ14世様式、サロン向きのロココ調の絵画ならルイ15世様式というふうに、絵や建築にあわせて額縁もそれにあったものが作られた。

 オークションで高値を呼ぶのは、そうした骨董(こっとう)的価値をもつ額縁なのである。

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