暮らし替えの道しるべ

(54)ローリングストックで備えを

 秋は台風シーズン。今年は防災用品に加え、マスク、消毒液などの新型コロナウイルス感染防止の備えも必要になってきました。昨年用意した防災グッズをすべて取り出して、食品の消費期限、電池が使えるかなど、コロナ禍の今、必要なものを再度見直してみましょう。

 最近、ローリングストックという言葉をよく耳にします。例えば、水や備蓄用の食品を防災用品としてそのままずっと保管するのではなく、ストック品を日常の暮らしの中で消費し、使った分だけ購入することで、いつでも新しいものが必要な分だけストックされている仕組みです。

 実は、私がその重要性に気付いたのは、片づけの現場です。特に高齢の方の家の中には、たくさんのストック品があります。トイレットペーパー、缶詰、水などです。それ以外にも調味料や瓶類など同じものをいくつもストックしています。あるお宅では、あふれた荷物の下から今にも爆発しそうに膨れた缶詰が発見されました。また、古いキッチンのシンク下の引き出しからさびついた缶詰がいくつも出てきて、「こんなところに引き出しがあったことすら忘れていた」と数十年前のものが出てくることも珍しくありません。ストック品が死蔵品とならないためには、日常の暮らしに組み込むことが一番いい解決法だと思います。

 災害時に特別な場所で、初めて食べるストック品は不安な気持ちが倍増してしまうでしょう。缶詰などの保存食も、普段の食事に積極的に使っていくことで、いざというときに「いつもの味」としてなじみます。

 ローリングストックで、意識せずに日常に防災を取り入れてみてはいかがでしょうか?(日本ホームステージング協会 杉之原冨士子)

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