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『われわれが習近平体制と命がけで闘う13の理由』金文学著 「中国の良識」がえぐり出す

 中国・武漢から感染拡大が始まった新型コロナウイルスは、世界中に蔓延(まんえん)した。感染初期に情報を明らかにしなかった中国共産党政権に対する批判は高まる一方だ。その状況に呼応する形で、海外からではなく中国国内から体制批判を続けてきた知識人たちの声を、著者との対談という形で紹介している。

 登場するのは、北京大学や清華大学の現役教授、経済学者、作家ら13人の「中国の良識」ともいえる論客たち。その舌鋒(ぜっぽう)は、コロナ禍を拡大させるに至った対応を手厳しく追及するのはもちろん、一党独裁体制の弊害や経済成長の裏にある国民の犠牲などを鋭くえぐり出す。

 視点の鋭さ、論旨の明快さもさることながら、驚かされるのは文字通り命がけで国家の過ちをただそうとする気概。「独裁政権の足元から内部告発する勇気はいかほどか」と著者が指摘する通りだ。

 著者の金文学氏は韓国系中国人として生まれ育ち、日本に帰化した今は広島市に在住。フィールドワークを重視する比較文化学者として日中韓の3国を飛び回り、現地の知識人らと交流を重ねてきた。その真摯(しんし)な研究が培った信頼関係から生まれた一冊といえる。(ビジネス社・1600円+税)

 服部幸一

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