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最期に寄り添う「看取り犬」の奇跡 ペットと暮らせる特養 (1/2ページ)

 神奈川県横須賀市の特別養護老人ホーム「さくらの里山科」。ここで暮らす雑種犬の文福(オス、推定10~11歳)は、入居者の最期に寄り添う不思議な「力」を持っている。新型コロナウイルスの影響で、家族との面会も制限されるなか、「看取(みと)り犬」文福をはじめペットたちが、高齢者や介護職員の大きな支えになっている。

殺処分の直前に

 さくらの里山科の2階フロア(計40室)は、犬か猫と暮らすことができる。ペットと一緒に入居する人や、自分で飼ってはいなくても、犬や猫と暮らしたい人だけのフロアだ。4ユニットに分かれており、現在は、2つに計10匹の犬、もう2つに計9匹の猫がいる。多くは飼い主とともに来たペットで、一部は動物愛護団体を通じて引き取られた保護犬や保護猫だという。

 文福は殺処分直前に引き取られた保護犬だった。ホームに来たのは平成24年4月。開所時からの「古株」だ。「最近、腰の神経痛で歩けなくなった時期があったんです。年相応というか、人間と同じですね」。元気になって近隣を散歩する文福のリードを引く若山三千彦施設長(55)はそう言って目を細めた。

ケアをサポート

 そんな文福の不思議な行動に職員が気づいたのは、ホームに来て2年目のことだった。2階のユニット長、出田恵子さん(50)はある日、1つの居室の前で文福がうなだれて座っているのに気づいた。翌日になると、職員の後ろから居室に入っていき、入居者が横たわるベッドの脇へ。そしていよいよ最期を迎える際は、ベッドに上がって別れを惜しむように顔をなめ、職員が声をかけても離れようとしなかった。ユニットで暮らす高齢者が最期を迎えるたび、文福は同じ行動を繰り返した。

 「私の考えですが、おそらくはにおいで、入居者さんの最期が近いことが分かるのではないでしょうか。だから他の犬にも分かるはずですが、寄り添うのは文福だけ。文福の性格というか、意思なのでしょう」と若山施設長は言う。

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