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コロナ死者100万人も実態は倍? 経済揺るがす統計不備、対策の有効性左右 (1/2ページ)

 新型コロナウイルスによる世界全体の死者が9月29日、100万人を超えた。米ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめで明らかになった。ただ、専門家の間には、各国が集計していない実際の死者はその2倍弱に上るとの見方が出ている。背景には政府による実態把握能力の欠如があり、経済対策の実効性をも左右しかねない問題といえる。

 豪メルボルン大学のアラン・ロペス名誉教授によると、実際の死者は倍近い可能性があり、年末までに最大300万人に膨らむ恐れがある。「100万人の死という響きは衝撃的だが、それでも、恐らく実際の数を大きく下回っている」という。

 先進国でも把握困難

 洗練された医療システムを持っている国でさえ、死亡率を正確に把握するのは困難だ。米国で3月から5月にかけ、新型コロナが原因とみられる膨大な死者が、統計当局によって補足されていないことが、7月に発表された研究で明らかになり、パンデミック(世界的大流行)の進行を追跡し、打撃をやわらげようとする取り組みに無力感を抱かせた。

 正確なデータの不足は、政府によるタイムリーな戦略遂行や公衆衛生維持、経済回復に向けた政策を台無しにしている。仮にロペス教授の予測通り死者が300万人に到達すれば、新型コロナは犠牲者が史上最多の感染症と位置付けられる。

 インドでは600万人超の感染者が確認されているが、ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると、全世界の死者数100万人のうちインドの死者は約9万5000人にすぎない。米国に次ぎ世界2番目の感染者を抱える同国には、リアルタイムで死者を追跡する信頼できる人口動態統計登録システムがない。

 ロシアでは7月、5922人の新型コロナ死者数を記録した。少なくとも4157人の他の死因による死者が新型コロナと関連していたが、同国の死因分類では新型コロナの死者とは認定されなかった。7月の全死者数は前年同月を2万9925人も上回っていた。

 世界保健機関(WHO)は6月、各国政府に対し、新型コロナへの感染が確認されているかどうかにかかわらず新型コロナの症状のあった患者の死は新型コロナの死者として分類するとの指針を示した。米疾病予防管理センター(CDC)も同様の指針を公表している。

 ロペス教授によると、新型コロナは世界的な死亡パターンを変化させたものの、全てがパンデミックによる直接的な結果というわけでもない。社会的距離の規範は、交通事故死やインフルエンザによる死者の減少に役立った可能性がある。広範なPCR検査を行わず、封じ込めの取り組みも緩やかだった日本では、新型コロナ感染者がピークだった5月の死者数が前年比で3.5%減少。ロペス教授は「パンデミックは実際には矛盾した方法で死亡率に影響している」と指摘した。

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