教育・子育て

市職員が許された副業としての“父親” 「業としなくていい社会」実現目指す (1/2ページ)

 コロナ禍で働き方の見直しが進み、各企業で導入の動きが加速する副業。職務専念義務がある地方公務員でも、社会貢献活動など一定の条件で認められているが、全国自治体に先駆けて制度を設けた神戸市には、一風変わった副業を許された男性職員がいる。その二足目のわらじとは、ずばり「父親業」。勤務時間外に2児の父として男性の育児参加の必要性を説き、「父親を業としなくていい社会」の実現を目指して活動している。(石橋明日佳)

 「育児というのはとても大変な仕事。父親としての役割を果たすのは重要で、そして当たり前のことでもあるんです」

 そう語るのは神戸市水道局職員の堀恭平さん(40)。同局の技術職として働くかたわら、NPO法人「ファザーリング・ジャパン関西」(兵庫県宝塚市、FJK)に所属し、父親を子育てに巻き込む方法や育児の意義について、自身の体験をもとに講演などを行っている。

 神戸市は平成29年4月から、市職員が知識や経験を生かし、担い手不足の団体やNPOに参加して社会貢献の副業を行うことを認める「地域貢献応援制度」を推進。堀さんはこの制度の存在を知り、昨年4月に前職の公共団体から同市へ転職、同年12月から父親業を兼ねる。副業のため収入はあるが、受け取るのは交通費などの実費程度。この点は民間の副業とは異なる。

 8歳と2歳の娘の父である堀さんは長女が生まれて間もない頃、前職で多忙を極め、育児は妻に任せきりだった。当時は「仕事が最優先」で、それ以外は育児を含めて「余裕があれば」という考え方だった。

 しかし、そんな認識は唐突に覆る。民間企業に勤める友人が過労自殺したのだ。「私生活は仕事の付属なのか」と、両者の関係性について深く考えるようになった。

 そして次女の出産時には週1、2日の育休を1年間にわたって取得することを決めた。職場とも協議を重ねて出した結論だったが、風当たりは厳しかった。「悔い改めて、正しい道に戻ってこい」。当時の上司や同僚の言葉には、社会の育休に対する認識が反映されていた。

 周囲の反応はショックだったが、それ以上に育休取得の成果は大きかったという。「育児には手間と時間がかかることを身をもって知った」。

 子育ては、家族がチームになって行うべきだ-。その確信を伝えることで、「社会の空気を少しでも変えたい」と一念発起。神戸市へ転職し、父親業との“二刀流”の道を歩み始めた。

 男性の育児参加が進まないのは、「育児は母親がする」という固定観念の根強さゆえ、と指摘する。「企業や自治体による子育て支援制度自体は、とてもしっかりしている。あとはその権利を行使するだけ」

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