たばこと健康

家庭内受動喫煙から子供を守るには

 今年の4月から改正健康増進法が全面的に施行され、未成年者を受動喫煙から守るため、未成年者を喫煙室などの喫煙可能な空間に立ち入らせてはいけないことになった。未成年者は、喫煙可能な飲食店には、客としても従業員としても入れないことを理解しておく必要がある。

 しかしながら、ホテルや旅館などの喫煙可能な客室の扱いは少し違うようだ。私はホテルの予約の際には基本的には禁煙室を選択するが、混雑時には喫煙室しか取れない場合もある。喫煙可能な部屋は独特の臭いが充満しており、滞在中は3次喫煙を強いられる。ホテルなどの客室は個人の家と同じ扱いのため、子供連れで喫煙可能な部屋に宿泊することは、法令違反とはいえないようである。とはいえ、3次喫煙が避けられない喫煙可能な部屋に子供連れで宿泊することは、可能な限り、避けたいものである。

 では、保護者が同行しない未成年者だけの合宿や修学旅行などの場合にも、「客室は個人の住宅扱い」で、彼らを喫煙可能室に宿泊させてもいいのであろうか?

 健康増進法では、喫煙可能な飲食店やオフィスの喫煙室などには未成年者の立ち入りを禁止している。飲食店の滞在時間はせいぜい1~2時間であるが、宿泊となると、もっと長時間となり、3次喫煙のリスクは大きくなる。未成年者には、禁煙室を提供することを宿泊事業者に義務づけることはできないだろうか。

 個人の家庭内の行動を法令で規制することについては、議論のあるところである。その家庭内を含む喫煙規制を目指したのが、東京都が平成30年4月から施行した「東京都子どもを受動喫煙から守る条令」である。この条例では、保護者および喫煙者に対して、「家庭等で子供と同室で喫煙しない」「子供と同乗する自動車内で喫煙しない」などの努力義務を課している。実効性は不明であるが、群馬県でも、このような条例ができないものか検討をお願いしたい。

 家庭内喫煙に関連する問題として、集合住宅におけるベランダ喫煙がある。自分の家族の受動喫煙を避けるため、ベランダでたばこを吸う人も少なくないが、風向きによっては隣戸に煙が入り、近隣住民との間でトラブルの原因となることがある。ベランダ喫煙による精神的苦痛に対する損害賠償請求裁判で、賠償金の支払いを命じた判例もある。喫煙者は周囲の状況によく注意し、受動喫煙防止に努めることが求められている。

 高崎健康福祉大学では、17年から年度初めに毎年、学生の喫煙に関するアンケートを実施してきた。本年は新型コロナ感染症のため新入生のみの調査となったが、集計の結果、本学の新入生650人(男性30%、女性70%)の喫煙者、および喫煙経験者は皆無、ゼロであった。

 同じアンケートで、「あなたの周囲に喫煙者はいますか」と尋ねたところ、本学新入生は1人も能動喫煙をしていないものの、「父親が喫煙」34・5%、「母親が喫煙」11・8%、「父・母ともに喫煙」6・2%など、約半数は家庭において受動喫煙をしている可能性があることが示唆された。

 家庭内での受動喫煙をなくすには、家族全員の禁煙が最良の方法である。この調査は禁煙を推進することの意義を改めて認識させるものとなった。

(高崎健康福祉大教授 東福寺幾夫)

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