教育・子育て

減り続ける学校ウサギ 先生の働き方改革で世話が負担に

 教員の働き方改革の影響を受け、学校現場でウサギやニワトリなどの動物の飼育をやめる動きが広がっている。命をつなぐための世話に休日はなく、夏休みや正月などの長期休業中も、教員がボランティアでエサやりや掃除などを行うことが負担になっていた。一方、飼育によって子供たちの心の成長が促されるという調査結果もあり、各地で試行錯誤が続いている。(地主明世)

 「子供たちから今後新たに飼いたいと要望があっても、教職員とよく考えて決める必要がある」

 昨年、飼っていたウサギの最後の1羽が死んだという大阪府内の公立小学校の校長は、こう打ち明けた。長期休業中の世話は児童が行ってきたが、児童の都合がつかない場合は教員が対応してきた。「今後も新型コロナウイルスによる休校があり得る。その場合に子供に世話を任せるわけにはいかない」と悩む。

 大阪府内の別の公立小学校でも、飼っていたニワトリが昨年死んだことで、校内での飼育動物はいなくなった。校長は「児童の中に動物アレルギーの子がいるので、新たに動物を飼う予定はない」と話した。

 共感や思いやり育む効果

 大阪府教委によると、動物を飼育している小学校は平成29年度には244校だったが、30年度は228校、令和元年度は205校と年々減少している。

 こうした傾向は全国でもみられるといい、動物飼育に詳しい大手前大の中島由佳教授が昨年、大学生約700人に、通っていた小学校で動物を飼育していたか否かを尋ねた調査では、93・4%が「飼育していた」と回答。だが、中島教授が平成29~30年に全国の小学校約2千校に実施した調査では85・8%にとどまっていた。

 小学校への調査で、教員らに飼育で困難なことを尋ねると、「長期休業中の世話」(28・8%)が最も多く、「病気やけがの処置」(15・6%)「土日の世話」(13・2%)が続いた。中島教授は「飼育を先生に任せる今のやり方では、続けていくのは難しい」と指摘する。

 小学校での動物飼育は明治時代から行われていたとされ、学習指導要領でも、生き物への親しみや生命の尊さを実感するために動物や植物の飼育・栽培をすることが明記されている。

 中島教授が平成29年から昨年まで、全国の小学校約70校の2~4年生を対象に行った調査では、動物の飼育によって、他者への共感性や思いやりが増す効果が見られたという。中島教授は「話せない動物の世話をする経験で、子供たちは人の立場を想像したり思いやったりする気持ちを育み、種の多様性を学ぶこともできる」と話している。

 家庭や地域協力、工夫で継続

 飼育を断念する学校が相次ぐ一方で、地域や保護者の協力を得ながら飼育を続ける例もある。

 神戸市北区の市立筑紫が丘小は昨年6月、近隣からウサギ2羽を譲り受けて飼育を始めた。田中勲校長は「動物の世話は情操教育になる。教員の負担になるから飼わない、というのはどうか」と話す。

 同校が教員の負担軽減と教育効果の両立を狙って始めたのが、長期休業中にウサギを家庭にケージごと預ける取り組みだ。エサなどは学校から提供する。

 今年の夏休みに自宅でウサギを預かった2年の清水凜ちゃん(7)は、「家で世話ができてうれしかった」とはにかみ、母親の真実さん(35)は「毎朝自分で起きてエサやりや掃除をしていた。命への責任を感じているようだった」と喜んだ。

 ウサギとニワトリを飼育している西東京市の市立保谷第二小では、休日も含め4年生の児童が分担して世話をしている。新型コロナウイルスの感染拡大による臨時休業中は、平日は教員が、土日祝日は保護者や地域住民らによる「おやじの会」が世話した。神山繁樹校長は「地域との連携が日ごろからあり、学校のSOSに地域の方が応じてくださった」と話していた。

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