ヘルスケア

新型コロナによる世界の死者数140万人超 昨年の結核死者数を上回る

 【ロンドン=板東和正】米ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると、新型コロナウイルス感染症による世界全体の死者が24日、140万人を超えた。世界最悪の感染症とされてきた結核の昨年の死者数を上回る見通し。新型コロナは欧米などで感染が再拡大した影響で、累計感染者数は6千万人に迫る勢いだ。感染拡大に伴う医療機関の逼迫(ひっぱく)が死者数の増加を引き起こしている。

 世界保健機関(WHO)は今年10月、昨年の結核発症者が世界で1千万人に上り、140万人が死亡したとの報告書を公表した。死者数はエイズの69万人(2019年)やマラリアの40万人(18年)を上回っている。

 新型コロナをめぐっては、中国で初の死者が出てから今年4月上旬に死者数が10万人となるまでに約3カ月かかった。それ以降は、15~21日ごとに10万人が増える状況が続いてきた。だが今月2日に120万人を超えた後は11日で10万人増が2回続き、増加ペースは上がっている。国別の死者数は米国、ブラジル、インド、メキシコ、英国の順で多く、上位5カ国で世界全体の半分以上を占める。

 米国で秋に入ってから感染の再拡大が始まった「第3波」は、4月の「第1波」、7月の「第2波」を上回るペースで感染者数が急増。感染者に加え、入院中の患者数や死者数も増加傾向にあり、医療機関の負荷の増大が懸念されている。ブラジルでも、リオデジャネイロで、11月の病院の集中治療室(ICU)の占有率が一時90%を超えるなど病床が逼迫している。

 欧州の各国でも医療態勢を巡る状況は切迫しており、欧州連合(EU)は10月29日、新型コロナ流行による医療崩壊を防ぐため、加盟国間の患者搬送に2億2千万ユーロ(約270億円)を拠出すると決めた。ただ、EUから離脱した英国は保守党政権が近年とった緊縮財政に伴う公的支出の抑制により、医療サービスが低下している状態が続いている。

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