ヘルスケア

英国からの入域、40以上の国・地域が制限 新型コロナ変異種拡大で

 【ロンドン=板東和正】強い感染力があるとみられる新型コロナウイルスの変異種が英国で拡大している問題で、各国が水際の厳戒態勢を強化している。英BBC放送によると、欧州や北米、中南米、中東やアジア、アフリカの40以上の国・地域が21日までに、英国からの入国・入境制限を決めた。世界保健機関(WHO)は21日、変異種の感染力が従来のウイルスよりも強い可能性があるとして徹底した対策を求めた。

 変異種は英国のほか、イタリアやオランダ、デンマーク、アイスランドといった欧州各国、さらに南アフリカ、オーストラリアでも確認された。感染拡大への警戒からフランスやドイツやカナダ、トルコ、クウェート、コロンビア、チリなどが英国からの入国停止を発表。英国と欧州大陸を結ぶ高速鉄道ユーロスターも21日から運行停止した。

 WHOのテドロス事務局長は21日、ジュネーブでの記者会見で、変異自体は想定されたことで、過度に特別視するものではないと指摘。「(変異種が)現時点で重症率や致死率を上げるという根拠はない」と強調した。WHOで緊急事態対応を統括するライアン氏は変異種に対して、ワクチンが有効だと述べた。WHOは、マスク着用や他人との距離の確保といった従来の新型コロナ対策も変異種に効果があるとみている。

 一方、変異種は1人の感染者が平均で何人にうつすかを示す指標「実効再生産数」が1・1から1・5に上昇する懸念があるとWHOは指摘。ライアン氏は会見で、「感染力が従来のウイルスに比べて強い可能性があり、感染者数に影響を与えうる」とも語った。

 さらにWHOは21日、南アフリカで検出された変異種は、英国のものとは別だとの見解を示している。

 フランスによる入国停止措置により、英仏海峡の英側にあるドーバー港周辺でトラックの渋滞が発生。物流にも影響がおよび、英国内で食料品などが不足する恐れがある。ジョンソン英首相は同日、50万人がワクチン接種を終えたとして感染収束に自信を見せた。

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