サンケイビル常務執行役員佐々木ゆかり氏・スタイルアクト代表取締役沖有人氏に聞く
新型コロナウイルス感染症のワクチン開発が進むなど、収束への期待感が高まるなかで2021年が明けた。マンション業界は今回の経験を踏まえ、働き方や生活のスタイルがどう変化していくかを探るのに懸命だ。テレワークの普及を背景に、時には仕事の場ともなる住まいの在り方が改めて問い直されているからだ。デベロッパーにとっては企画力、提案力が強く問われることになる。大手デベロッパーであるサンケイビルの佐々木ゆかり常務執行役員と、マンション動向に詳しいスタイルアクト代表取締役の沖有人氏にこれからのマンションについて語ってもらった。
マンション価格は2025年まで上昇と予想(沖)
キーワードは魅力的な立地と、きめ細やかな配慮(佐々木)
佐々木 コロナ禍で私たちの生活は一変しました。デベロッパーとしてマンションに対する顧客の要望がどう変化し、需要がどう推移するのかは非常に気になるところです。専門家として、今年のマンション市場をどのように捉えていますか。
沖 分譲マンションは新築、中古ともに価格が上昇していくとみています。テレワークが増えたことで家にいる時間が長くなり、もう一部屋あればといった住まいへの欲求が顕在化しました。半面で2020年のマンション供給は大幅な減少を余儀なくされました。需給がタイトになり、ファイナンス面からみても価格を押し上げる要因が揃っています。そうですね、25年までは上昇トレンドが続く可能性があります。
佐々木 デベロッパーからすると、物件の優劣が価格に、より明確に反映されるようになるとの見方をしています。そのため当社が展開する分譲・賃貸のマンションシリーズ「ルフォンシリーズ」では魅力ある立地や色褪せないデザイン、使いやすい住空間などにこだわり、お客さまに満足していただけるよう努力を重ねています。コロナ禍に関係する動きとしては、立地に対する要望の変化を感じます。テレワークが広がって時間的な余裕が生じたことで、お客さまは日常生活を満たすうえで多くの選択肢がある都心部の優位性を評価し、それが価格に反映されていくとの見方です。すなわち都心部など立地に優れた物件が、より価格が上昇するのではないかとみていますが、どうでしょうか。
沖 私もその通りだと思います。実は都内では単身世帯が増加しています。そこから仕事とそれ以外の時間、つまりオンとオフの両立を志向する動きが強まっていくとの推察ができます。オン、オフの両立となると住まいの選択肢は、繁華街がある都心部を中心とした便利な場所へと狭まっていきます。それによって都心部と郊外とで人気に差が出てくることになります。そもそも職住近接は、コロナ禍とは関係なく不変的で、通勤リスクを避けながら充実した住まいはニーズがあると思います。それと最寄り駅からの時間も非常に重要で、ファミリータイプなら駅から徒歩8分までが望ましいと考えています。
佐々木 それは本当に大切なことです。ルフォンシリーズでは駅から徒歩10分以内を基本ルールに据え、帰り道もずっと明るく安全であるなど、長く住み続けたくなるような魅力的な所を立地場所に選ぶようにしています。それと改めて感じているのが、住居内をいかに使いやすくするかのきめ細かな配慮です。とくに収納と水回りに対しての要望は件数的にも多く、改善策を日々追求しています。一例を挙げると、収納内でタテ型クリーナーが倒れないようにバーを設置しましたし、収納の際に充電ができるようにコンセントも取り付けました。トイレにはスマホを置く台も設けました。こうした細部にまで目を行き届かせるのと併せ、多様なニーズに対応し部材の色を好みの中から選択できるようにもしています。
沖 選ばれるマンションとは何だろうかと考えてみると、それは美意識と機能性に優れているからなんです。美意識とは「このマンションは自分のために存在しているのではないだろうか…」と思わせる日常のサービスを含めた広い概念です。これを感じ取らせることができて、いま説明がありましたきめ細かな配慮による優れた機能が備わっていれば、住まいへの愛着へとつながっていきます。こうした顧客満足度を高める努力を重ねることでマンションのブランド価値も高まります。
佐々木 私はマンションに対する要望が変化したのではなく、以前から何となく感じていたことがコロナ禍でクローズアップされ、その便利さに気付いたのではないかと分析しています。ウイルス感染予防のため自分の部屋まで非接触でたどり着けるシステムはそうした一つです。当面のマンション戦略に触れると、今後はスモールオフィスと住居を組み合わせた複合型の賃貸マンションを増やしていこうと考えています。それと超高齢化社会を踏まえ、健康をキーワードにクリニックモールとの組み合わせも検討しています。
沖 高齢と健康というのは重要なキーワードです。高齢になってからの住まいは、冬場のヒートショック予防の観点などからしてもマンションの方が適しています。マンションの可能性は複合型の例のようにまだまだ広がるし、今年は需要が旺盛なことから活気も出てくるでしょう。デベロッパーにとっても期待が持てる1年だと言えそうです。
【プロフィル】佐々木ゆかり 東北大学工学部建築学科卒。リクルートコスモス(現コスモスイニシア)にて、分譲マンションの企画開発に携わる。2008年よりサンケイビルで住宅事業を推進。女性ならではの細やかな視点で、毎日の暮らしを快適にするキッチンや洗面所などの水回りや家事動線を考え、世代を超えて永く住める安心で快適な住まいづくりに取り組んでいる。
【プロフィル】沖有人 慶應義塾大学経済学部卒。監査法人トーマツ系列のコンサルティング会社、不動産コンサルティング会社を経て、1998年にアトラクターズ・ラボ株式会社(現在のスタイルアクト株式会社)を設立、代表取締役に就任。住宅分野において、マーケティング・統計・ITの3分野を統合し、日本最大級の不動産ビッグデータを駆使した調査・コンサルティングを得意としている。
新CF情報
サンケイビルは今月4日から東京メトロビジョンをはじめ、ルフォン公式ホームページ内特設ページにて新CFの放映を開始している。
新CFは、若い世代を中心に人気のイラストレーター長場雄氏の書下ろしで、ルフォンで暮らす様々な人物を描き下ろしている。
今回のメッセージは、『選べるルフォン』。「いい住まいは、人生をワクワクさせてくれる。人それぞれに様々な暮らしの喜びがあり、そのライフスタイルにあわせて、分譲か賃貸か住まいを選べること」をテーマにしている。
サンケイビルのマンション「LEFOND(ルフォン)」
LEFOND(ルフォン)はフランス語で「本質」という意味。住まいの本質を追求し、「住むよろこびを、ずっと。」お届けしたいという思いが込められている。首都圏を中心とする厳選したエリアにおいて、多種多様に変化する都市生活者の住まいへの在り方を追求し、それらのニーズに応える住まいの提供を志している。駅から徒歩10分以内の利便性や“女性目線”での使いやすい設備の導入などへのこだわりは、外部機関からも高く評価され、グッドデザイン賞や緑化大賞などの受賞へとつながっている。「ルフォン」はこれからも、都市で暮らす人々の幸せを支える住空間を創造していく。
(提供 株式会社サンケイビル)