がん電話相談から

乳がん術後、再発が心配 (1/2ページ)

 Q 50代の女性です。平成31年4月、乳がんと診断され、令和元年5月に左乳房温存術とセンチネルリンパ節生検を受けました。がんの大きさは14ミリで、腋(えき)窩(か)リンパ節転移はなく、ステージIでした。ホルモン受容体陽性のルミナール型で、がんの悪性度を表す組織グレードは3段階で最も高い3、「Ki67」(がんの増殖能)は35%で高めでした。組織型は、浸潤性微小乳頭がん(IMPC)という珍しいタイプだと言われました。6月から半年間、術後化学療法(ドセタキセル4コースとEC療法4コース)を受けました。令和2年1~2月には術後乳房への放射線治療を受け、2月からはホルモン療法のレトロゾールを内服しています。担当医からは、IMPCは再発の可能性が高いと言われました。

 A がん研有明病院のデータでは、IMPCは、浸潤性乳がんの6~8%程度にみられています。リンパ節転移があることが多いのですが、あなたのように手術時の検査でリンパ節転移がなかった場合の再発率は、通常の浸潤性乳がんと変わりませんので、IMPCだからといって、特別に考える必要はありません。

 浸潤性乳がんの場合、「予後予測因子」=表=に基づいて再発の可能性を予測し、術後の薬物療法を選択します。オンコタイプDXという遺伝子検査を行って、化学療法の必要性を調べることもあります。

 Q でも再発が心配です。

 A がんが小さめでリンパ節転移がなかったことから再発率は低いと考えられます。ただし、組織グレードやKi67が高めですので、再発の可能性が比較的高いと考えられる要素もあります。担当医はこの点を考慮して、ホルモン療法だけではなく、化学療法を行ったのだと思います。タキサン系のドセタキセルと、アントラサイクリン系のEC療法は、標準的な化学療法で、現在内服中のホルモン療法と併せて、最善の治療を受けているといえます。再発の可能性を減らすためにやるべきことはすべてやっているわけですので、自分らしい生活を取り戻していくのがよいと思います。

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