ヘルスケア

変異種の国内感染拡大に警戒感 監視強化も検査に限界

 新型コロナウイルスの変異種の市中感染が起きていた可能性が明らかになり、国内での感染の広がりに警戒感が強まっている。国は監視体制を強化する方針だが、変異種を検出するための検査は質量ともに限界がある。従来種より高い感染力で急激に感染拡大する恐れが指摘されており、医療現場のさらなる負担増加とともに、第3波の長期化を懸念する声も出ている。

 「見つかったエリアの検体をできる限り提出してもらい、しっかりと調査していく必要がある」。田村憲久厚生労働相は19日の会見で、変異種の市中感染の可能性がある静岡県で感染者全てのウイルス検体を調べるなど、監視体制を強化する方針を明らかにした。

 国立感染症研究所で行っているウイルスのゲノム(全遺伝情報)解析は感染者全体の4%程度にとどまり、検体のウイルス量が少ないと解析が困難という課題もある。厚労省は自治体や民間検査会社により多くの検体を送るよう要請。感染研が開発した変異種用のPCR検査の迅速診断を活用し、国内での変異種の広がりを把握したい考えだ。

 昨年12月末以降、国内では47人から英国型、南アフリカ型、ブラジル型の変異種が検出され、大半は空港検疫で見つかっている。一方、今月18日に英国型への感染が発覚した静岡県の3人はいずれも海外渡航歴がなく、国内での感染経路が分かっていない。英国から入国後の健康観察中だった男性が東京都内で会食し、参加者2人が変異種に感染した事例も判明している。

 厚労省は「(変異種が)地域で面的に広がっている証拠はない」との見方を示すが、全国的に流行している恐れはないのか。東京医科大の濱田篤郎教授(渡航医学)は「静岡県には大都市圏から持ち込まれたと考えるのが自然で、首都圏や関西圏ではある程度広がっている前提で対策を立てるべきだ」と指摘する。

 東京大大学院の飯野雄一教授(生命科学)は昨年末の東京都の感染状況を踏まえ、従来種300人、変異種10人の環境から感染拡大の推移を改めて予測。英国での評価を基に、変異種の実効再生産数(感染者1人がうつす平均人数)が従来種の約1・48倍だった場合、4カ月後に従来種1千人に対し、変異種7千人と大幅に上回ることが判明した。飯野氏は「最初の変異種の感染者が多いほど、感染拡大の推移も前倒しになる」と警鐘を鳴らす。

 濱田氏は「第3波の流行は冬場の環境が大きく、変異種が要因で起きている可能性は低い」と分析。その上で「今後、変異種の感染拡大が重なると流行が長期間にわたり、感染者や重症者のピークも高くなる。逼迫(ひっぱく)した医療現場を守るためにも国内での封じ込めが重要になる」と強調した。

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