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原発事故の帰還困難区域を伝える 東京・新宿で写真展

 東日本大震災からまもなく10年となるのを前に、東京電力福島第1原発事故で全村避難となった福島県飯舘村で、避難指示が続く長泥地区の写真パネル巡回展「帰還困難区域に生きる」が、東京都新宿区の早稲田スコットホールギャラリーで開かれている。

 飯舘村の南端に位置する長泥地区は、震災前は73世帯281人が生活。原発事故後に「帰還困難区域」となり、現在も避難生活が続いている。

 巡回展は、長泥の記録誌や区報の編集に携わった新潟県立大の山中知彦教授が企画。長泥の事故前と事故後の写真を展示している。

 事故前は、地域総出の運動会や、餅つき大会、川遊びなど地域に根付いた豊かな暮らしを送っていた様子を紹介。事故後は、防護服姿の人が地区内の放射線量を計測している様子や、バリケードが設置されたり、家屋が解体されたりするなど、変わりゆく長泥の様子を写している。

 この日会場に訪れていた石井俊一さん(72)は、都職員を退職後、長泥に移住。3年後に原発事故が起き、現在は再び都内に戻り、避難生活を送る。

 石井さんは長泥の魅力について、住民らが強いつながりや共感を持って生活していたことを挙げ、「匿名ではなく名前のある社会。そこに存在していること、生きていることを実感できる社会だった」とする。

 石井さんはいずれ長泥に戻りたいと考えており、「長泥の魅力を再び現地で理解していきたい」と話している。

 巡回展は7日まで。午前10時~午後7時(最終日は午後5時)。入場無料。(大渡美咲)

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