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変異株、ゲノム解析拡充 大学の能力把握へ 感染の広がり把握

 感染力が強いとされる新型コロナウイルスの変異株の監視を強化するため、厚生労働省が大学などにウイルスのゲノム(全遺伝情報)解析を依頼することを決め、解析能力の報告を求めていることが13日、分かった。集計結果を近く公表する見込み。政府は変異株が感染再拡大の脅威になるとして警戒を強めており、ゲノム解析の拡充で、全国的な感染の広がりを早期に把握する狙いがある。

 変異株の確認には現状、各自治体が新型コロナの感染者に変異株用のPCR検査を行い、陽性だった検体を国立感染症研究所でゲノム解析し、確定している。PCR検査でも変異株をほぼ正確に検出できるが、英国型、南アフリカ型、ブラジル型の判別にはゲノム解析が必要になるという。

 これら3種類以外に、感染研独自のゲノム解析で、海外由来とみられる起源不明の変異株が約400件見つかったほか、12日にはフィリピン由来のタイプも新たに確認された。いずれもワクチンの効果が弱まる恐れが指摘されている。

 PCR検査は数時間で結果が出る一方、ゲノム解析には数日間かかる。厚労省は変異株の監視強化のため、各自治体に検査の増強を求めており、感染研の業務負担が増している。神戸市など一部自治体は独自にゲノム解析に取り組んでいるが、大学や研究機関、民間検査機関でも解析してもらい、全国展開する。

 その前提として、大学や研究機関あてに2日付で実態調査の事務連絡を発出。これまでの解析実績に加え、1週間で実施可能な解析数などの報告を求めた。厚労省関係者は「自治体内で検査から解析まで行えれば効率化が図れる。ブラジル型を世界で初めて特定したのは感染研。大学などでも新しい変異株の発見が期待される」としている。

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