書評

『定本 焼絵考 日本・中国・韓国・ロシア・インドネシアの焼絵』

 ■歴史・技法・表現の可能性探る

 木や紙を焦がし、その濃淡で描く焼絵は、英語で「Pyrography」、中国語では「烙画(らくが)」とも呼ばれる芸術表現の一つ。一般的にはあまり知られていないが、歴史は古く、平家物語にも記録が残り、江戸期には浮世絵師も焼絵を残している。

 明治時代、筆と絵の具を用いないため絵画として認められない時期もあったが、現在では多くの専門焼絵画家が制作。日本だけでなく中国、韓国でも歴史があり、技法は工芸などに利用されてきた。

 世界を回り、歴史を調べ、作品を発掘してきた著者が、焼絵の新たな可能性についても探った研究書だ。(田部隆幸・著/誠文堂新光社、2700円+税)

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