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「村役場では教えてくれない」田舎に移住した人が絶対口にしてはいけないこと (2/2ページ)

 治安の悪さは住んでみなければわからない

 かつて炭鉱の町として栄えたB県のある地域は、炭鉱閉山後、地域振興の名目で、政府による多くの補助金が注がれたことに加え、圏内の高速道路網の充実や、経済都市である某政令指定都市とのアクセスも良好となったこともあり、移住者も順調に増え、昭和末期の暗さは薄まりつつある。かつて炭鉱住宅が立ち並んでいた旧産炭地域は今、続々と宅地造成されている。

 もちろん、「人気」に嘘はないが、一方で見落とされがちなのが治安面の実態だ。「負のイメージ」である治安や犯罪発生状況については行政側から積極的に情報提供されることはほとんどなく、その実状を知ることは容易ではない。

 国道沿いを眺めれば全国と変わらない飲食チェーンやパチンコチェーン、ショッピングモールが展開していても、地域事情までもが同一の光景とは限らない--。見落とされがちなのはこの点だ。

 「新旧の住民構成が急激に変化した場所や、急速な地域環境の変化に見舞われた土地では、極端に走った犯罪が時に起こることも少なくない。同時に、程遠い治安状況の実態が、公表されている犯罪件数にすべて表れているわけでもない。

 地方では、詐欺や傷害をはじめ、本来であれば殺人未遂の重大事件として立件されるべきものでも、地域事情から警察署が地域事情を考慮し、事件化、送検せずに処理しているものも多い。狭い社会、地域の紐帯の強い地方社会では、立件、検挙しないことでその後の地域の安寧を保つことに寄与する場合が多々あるからだ」(元県警職員)

 「出て行った者」から話を聴くことも重要

 もちろん、住んでみなければわからない細かい地域事情は、B県に限らず、全国どこにでもある。そうした事情は、やはり土地の出身者などに、地域の成り立ちの歴史的な経緯を含めて細かく訊ねるしかない。

 表向きはきれいに区画整理され、新興住宅地として整備されていても、その住宅地を囲む“土地柄”や“地域事情”は、決して不動産会社や行政による移住促進パンフレットからでは見えてこない部分である。

 移住先の土地を自ら訪れてみることが大切なのは言うまでもないが、それに加えて、その土地から「出て行った者」を探し、話を聴くことも肝要だ。さらに、地域特性がソフト面だとすれば、移住先住居などハード面にも事前の心配りが必要になる。

 今でこそ交通や通信網が発達して情報のタイムラグはほとんどない。しかし、肝心なのは、同地出身者にしかわからない地域事情や歴史的な背景だろう。

 「通勤時間帯を除けば電車は1時間に2~3本、都市部から離れているので娯楽も限られている。物足りなさを感じて都会に出る若者も多い。私もその一人ですね」

 同地域出身で関東在住の50代男性はそう話す。

 引っ越し先が地盤沈下を起こす事も

 さらに、同地域を含む旧産炭地域では、かつて地下各所に張り巡らされた炭鉱採掘用の地下坑道がしばしば陥没する。新築住宅であっても、わずか数年のうちに襖や扉が締まらなくなることも多い。地下深くでかつての坑道が崩れると、地盤そのものが自然沈下するためだ。

 「地元住民じゃ、そんな話は織り込み済みでトラブルにはならないが、知らずに外から入ってくると、施工不良だ、欠陥住宅だ、とトラブルも多い」(同地域の開発業者)

 そんな話も、やはり移住者向けのパンフレットには「載っていない話」になる。

 

 柴田 剛(しばた・つよし)

 ライター

 地方移住や老後の住み替えなどについて取材するライター。

 

 (ライター 柴田 剛)(PRESIDENT Online)

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