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創薬・供給「安保」の視点で戦略立案 自民提言案

 自民党の社会保障制度調査会「創薬力の強化育成に関するプロジェクトチーム(PT)」(座長・橋本岳元厚生労働副大臣)がまとめた医薬品産業に関する提言案の全容が2日、判明した。新型コロナウイルスのワクチン接種が欧米諸国に比べて後れをとったことを踏まえ、危機管理上の観点から「医薬安全保障戦略」の確立を訴えているのが特徴だ。産業政策と安保政策を統合的に扱う司令塔の設置を求めている。

 提言案は、これまでの医薬品政策について「ワクチンをはじめとする医療用物資とその技術は、あらゆる事態に対して国民の健康・生命を危機から守るという医薬安全保障上も重要な存在意義があるが、こうした危機管理意識に立脚しているとは言い難い」と指摘。「もともと国内製薬企業の感染症やワクチン部門の開発力は国際的競争力が極めて弱いことも相まって、国産ワクチンの開発が大いに遅れ、国民から不満の声が上がっている」と苦言を呈した。

 その上で「いかなる事態が生じても安定的に医薬品を国内供給できるよう危機管理制度を構築しておくこと」と主張し、「研究開発支援を含めた産業政策と安保政策を統合的に扱い戦略立案を行う組織体制の構築を検討すべきである」と提言した。戦略を立案する省庁の縦割りを排した司令塔の設置や、ワクチンの研究・開発から臨床治験、承認、生産体制の確保まで一貫して対処する機能の整備を求めた。

 また、医薬品の承認申請に関し、緊急時は「企業申請主義」から「政府主導型の支援」に切り替え、治験に参加する被験者が十分確保できない事態に備えて、「政府主導で製薬会社が海外治験を実施できるよう必要な支援措置を講じるべきだ」と記した。米国の緊急使用許可制度(EUA)を参考に、緊急時には未承認の医薬品の使用を許可する制度の検討も促している。

 PTは今月中にも提言を取りまとめ、厚労省が今夏の策定を目指している医薬品産業ビジョンや、政府が6月ごろにまとめる経済財政運営の指針となる「骨太方針」に反映させることを目指す。

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