鉄道業界インサイド

日本初の新設「LRT」が秘める進化の可能性 カギは定員増と最高速度引き上げ (2/2ページ)

枝久保達也
枝久保達也

 拡張性を備えた「ライトライン」

 実は芳賀・宇都宮LRTでも、将来的に特認を得て車両を全長30メートルから40メートルに延長する構想がある。新潟トランシスの担当者によれば、ライトラインは車両の増結に対応できる構造になっているという。

 もうひとつ軌道法が制限しているのが速度で、軌道運転規則第53条には「最高速度は毎時四十キロメートル以下」と明記されている。ライトラインも開業時点では全線を時速40キロで運転することになるが、実はこちらでも特認が計画されている。

 芳賀・宇都宮LRTでは鬼怒川を越える区間の前後約3.5キロにLRTだけが走行する「専用軌道」があり、この区間を時速70キロで走行できるようにする計画があるのだ。ライトラインは最高運転速度時速70キロで設計されており、最高速度引き上げにも対応済みだ。また併用軌道区間でも時速50キロでの走行を目指すそうだ。

 日本初のLRTとして2006年4月に開業した「富山ライトレール」は、JR富山港線を第三セクターの同社が引き継ぎ、道路との併用軌道区間を新設して誕生したが、芳賀・宇都宮LRTは、既存路線の改良や延伸ではない日本初の新設LRTとなる。さまざまな新しい試みが取り入れられることになっており、ライトラインはそれらに対応する拡張性を備えているのが最大の特徴だ。2023年春の開業と、その後の進化に注目したい。

枝久保達也(えだくぼ・たつや)
枝久保達也(えだくぼ・たつや) 鉄道ライター
都市交通史研究家
1982年11月、上越新幹線より数日早く鉄道のまち大宮市に生まれるが、幼少期は鉄道には全く興味を示さなかった。2006年に東京メトロに入社し、広報・マーケティング・コミュニケーション業務を担当。2017年に独立して、現在は鉄道ライター・都市交通史研究家として活動している。専門は地下鉄を中心とした東京の都市交通の成り立ち。著書に「戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団」(青弓社)。

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