教育・子育て

コロナ禍で浮上の教育課題網羅も…実現にハードル 教育再生実行会議提言

 政府の教育再生実行会議が6月3日にまとめた第12次提言には、新型コロナウイルス禍でクローズアップされた教育のキーワードが列挙された。オンライン授業、少人数学級、9月入学などは、いずれも以前から教育改革の課題とされながら進展が見られなかったテーマで、学校現場が直面した不測の事態に対する焦りが、教育関係者の背中を押した格好だ。文部科学省は感染収束後を視野に提言内容の実現に乗り出すが、課題はなおも山積している。

 オンライン授業

 「学校が通常の教育活動を行えなくなった場合でも、子供たちの学びを確実に保障し得る環境を構築していく」。提言には、コロナ収束後を視野に入れた改革の目標がこう記された。その柱の一つとなるのが、昨年の一斉休校を機に注目された教育のICT(情報通信技術)化の推進だ。

 例えば、子供1人1台のタブレット端末整備。実行会議が平成27年にまとめた第7次提言で、すでに必要性が言及されていたが、その後に文科省が示した整備完了時期は令和5年度だった。ペースの遅さが際立っていたが、感染拡大で計画の前倒しが決まるや、わずか1年でほぼ全ての小中学校で整備を終えた。

 もっとも、旺文社が昨年12月から今年1月にかけて実施した調査では、3分の1の高校が生徒用に導入した端末を「活用できていない」と回答。8割超が教員のICTスキル向上を課題としていた。提言では、子供の利益を第一に考える視点が「教育行政や学校現場での教育活動において必ずしも徹底されていなかった」と指摘し、教育関係者の意識改革を求めた。

 「データ駆動型教育」として、学習履歴を蓄積したビッグデータの分析により、子供に応じた指導を行う構想も打ち出されたが、こうした高度な内容が現状でどこまで実現できるかは不透明だ。

 ICT環境が充実している大学でも「授業の質の確保が課題となる」(内閣官房幹部)。しかし、都内の私立大で授業改革を担う男性教員は「ICTに不慣れな一部のベテラン教授のオンライン授業に対する拒否反応は根強い。発言権も大きいので改革のブレーキとなっている」と明かす。

 少人数学級

 長期にわたり停滞していた少人数学級の拡充もコロナ禍で劇的に進んだ。小1の35人学級が実現したのは平成23年度。24年度には小2も財政措置で事実上の35人学級となったが、それ以降は財務省への予算要求が通らず、27年度以降は文科省も要求を断念していた。

 しかし、コロナ禍で教室の3密回避を迫られたことに加え、分散登校で不登校の解消効果が自治体から報告されたことなどをきっかけに、公立小の全学年で35人学級への段階的移行が実現した。

 一方、公立中への拡充については、財政の有効活用の観点から実行会議の委員間でも意見が割れており、提言では「望ましい指導体制の在り方について検討する」と抑制的な記述にとどまった。先行した公立小の効果検証が財源獲得の説得材料となるため、文科省の担当者は「精緻に状況を確認していく」と意気込む。

 大学教育では、入学・卒業時期を柔軟にする9月入学や年間授業を4分割する「4学期制」の推進が提案された。現在でも導入可能だが、4月以外の学部入学者は全体のわずか0・45%(30年度)で、ほとんどが帰国子女や留学生だ。4学期制の採用も国公私立大の5・5%(29年度)にとどまる。カリキュラムの見直しなど大学側の負担が増すため、改革を促す動機付けも必要となりそうだ。

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