ヘルスケア

東京で感染1000人超 制限一辺倒の新型コロナ対策に限界

 東京都の新型コロナウイルスの新規陽性者数が14日に1149人となり、2カ月ぶりに1000人を超えた。一方で、政府が示した酒類制限に関する「働きかけ」方針が世論の猛反発で撤回に追い込まれるなど、国民に犠牲と我慢を強いる対策には限界が見えてきている。政府はワクチン効果に期待をかけるしかないのが実情だ。

 「東京都の新規感染者に占める高齢者の割合は、今年初めは20%台だったが、直近は4%前後まで下がっており、重症者や死亡者の増加を食い止めることにつながっている」

 菅義偉首相は14日、官邸で開いたコロナ対策の関係閣僚会議でこう述べ、高齢者へのワクチン接種の成果を強調した。1000人超の感染者数に触れつつも「重症者数は54人となり、ほぼ横ばい」とも語り、まだ病床には余裕があるとの認識も示した。

 一方で4連休や夏休みを控え、専門家は全国的な感染拡大の可能性に警戒を強めている。厚生労働省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード(ADB)」は14日の会合で、首都圏の感染拡大を地方へ広げないため、県境を越えた移動は慎重にするよう求めた。コロナ分科会の尾身茂会長は記者団に「ちょっと前まで感染が下火だったところで、いくつかの都市で感染増加が見えている」と危機感をにじませた。

 しかし、東京都では4度目の宣言とあって対策の効果が限界に達しつつある。協力金の支給遅れもあり、要請に従わず酒類提供を続ける店が増えている。

 政府は今回の宣言発令に当たり、酒類販売事業者や金融機関から飲食店への「働きかけ」を通じた引き締めを狙ったが、世論の猛反発で撤回に追い込まれた。14日には酒販事業者への支援上乗せを打ち出して沈静化に努めたが、対策の行き詰まりを印象付けた。

 政府は締め付け一辺倒ではなく、緩和の道筋を示す必要性にも迫られている。自民党の世耕弘成参院幹事長は13日の記者会見で、ワクチン接種の証明書を提示した客には酒類提供を認めるなど「今後をにらんだ工夫を考えなければならない」と指摘した。

 ただ、専門家は緩和を「時期尚早」とみる。ADBの脇田隆字座長は14日の会見で「専門家の間でも議論しているが、まだ接種が済んだ人が半分にもいかない状況だ。陰性証明や接種証明で活動を広げていく時期には来ていない」と語った。(千葉倫之)

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