2015.4.12 17:06
少子高齢化により、全国的に増えている古い空き家が社会問題化している。5月26日に「空家等対策推進特別措置法(空家対策法)」が完全施行され、自治体が危険な空き家(特定空家)と判断した場合、土地の固定資産税が跳ね上がる。空き家を相続した場合はどうしたらよいのか。対処法を調べた。(村島有紀)
見極めを
「人が住まなくなると家は急速に傷む。危険な状況にならないよう、できるだけ早く売る、貸す、相続放棄などの対処を決めるべきです」と話すのは、「予算100万円でもできる不動産投資成功しました!」(翔泳社)などの著書がある不動産ジャーナリスト、中川寛子さん(55)。
中川さんは、土地付きの空き家を相続した場合は、地元の不動産業者などに相談することを勧める。借り手が見つかるかどうかを見極めるためだ。
売る場合は、そのまま土地と建物を売却する方法と更地にしてから売却する方法がある。
家財道具を処分して、そのまま売るのが最も簡単だが、「家付きの土地は更地より安くなる」と中川さん。家財の処理にも数万~数十万円かかるという。
一方、更地にする場合は家財の処理費用に加え、解体費用が必要。一般的な木造戸建て住宅の解体費用は200万円程度だ。
また、「場所によっては更地にしても売れないケースがある。売れる土地かどうかを事前によく調べて」とアドバイスする。一定以上の幅の道路に面していない土地などの場合は建築基準法上、新築・改築ができない場合もあるからだ。
売却も賃貸も難しい場合は、自治体や社会福祉法人などへ寄付する方法も。「そのままにしていると固定資産税がかかるだけで収益を生まない」という。
また、他に相続財産がなければ、相続を放棄してもいい。ただし、放棄できるのは相続が発生してから3カ月以内。相続人全員(死亡した人の子供、孫、きょうだいなど)が家庭裁判所で手続きをする。放棄された土地建物は国の所有になる。
更地並みに課税
総務省の調べでは、全国の空き家件数は約820万軒(平成25年)で、総住宅件数に占める空き家率は過去最高の13・5%に上る。
賃貸にも、売却用の不動産市場にも提供されず放置される土地付き空き家が少なくなく、その原因の一つが税法上の「固定資産税の住宅用地の特例」とされる。「住宅が建っていれば、土地200平方メートルまでは固定資産税を6分の1に、200平方メートルを超える場合は3分1に減額する」というもので、更地を所有するよりも固定資産税が安くなるからだ。
しかし、空家対策法施行後は、自治体が崩壊などの危険性がある「特定空家」と判断し、所有者が解体などの指導に従わず、勧告を受けると特例の対象外に。更地と同等に課税される。建物の固定資産税評価額はゼロになる予定だが、総務省固定資産税課は「更地と同様に課税されることで、3~4倍程度税額が上がるケースが多いだろう」とする。
「相続した空き家をそのまま放置するのは問題の先送り」と中川さん。防犯上も早めの対策が求められている。
■自治体が活性化に利用
空き家の有効活用で注目されているのがリノベーション(大規模改修)だ。古い民家や商家をゲストハウスやカフェ、シェアハウスなどの建物に改修。「空き家バンク」を通じて入居者を集め、活性化につなげている自治体もある。
広島県尾道市では平成19年、NPO法人「尾道空き家再生プロジェクト」が結成され、建築家らと協力して空き家の再生と移住者の募集を開始。21年から24年の4年間で約70軒に新規入居があった。
空き家活用による地域活性化を調査した日本政策投資銀行の角間崎(かくまざき)圭輔さんは「更地にするより、使う前提で建物のその後を考えたほうがいい。町全体が元気になる取り組みが求められている」と話す。