24時間営業フィットネスクラブ急増の理由 システムはどうなってるの?

2015.6.20 17:16

【TREND WATCHING】

 ビール、バーベキュー、海! もうじき夏本番がやってくる。学生の頃のようなロングバケーションがあるわけではないが、それでも夏は何やらワクワクしてくるものだ。しかし、同時にある問題が浮上してくる。分厚いアウターを身にまとっている分には気にならないが、Tシャツ1枚の時期は嫌でも意識せざるを得なくなる。そう、スタイル(体型)だ。どんなにスタイリッシュなデザインのTシャツを着てみても、薄い胸板に貧弱な肩、ぽっこりお腹ではキマらない。夏のオシャレは、服を着る前から始まっているのだ。

 というわけで、燦々と照りつける太陽の下でもビシッとキメるために、今回は最新のフィットネス事情をお届けしよう。

 ■高まるフィットネス意識

 日本人のフィットネスに対する意識は、ここ10年ほどで急速に高まった。それ以前は紅茶きのこダイエット、りんごダイエットなどのような食べ物によるものが多く、また正しい知識を持つ人間が少なかったためリスクの高い極端なダイエットが蔓延していた。

 もちろん、古くはブルワーカーなどのホームフィットネス用品が流行るなどの運動ブームもあったが、こちらも知識のなさゆえに思うような結果を出すことができずに終わる人が多かったように思う。だが、2000年代に入りケビン山崎氏のトータルワークアウトや、ビリー・ブランクスのビリーズブートキャンプなどが登場し、エクササイズによる働きかけで健康、スタイルを維持しようという考え方が定着し始め、また知識も深まりを見せることとなる。

 ■24時間フィットネスクラブが急増

 フィットネスに対する意識、知識の高まりを受けて多くのフィットネスクラブが誕生することとなるが、ここ最近、このフィットネスクラブに大きな変化が起きている。街を歩いて見かけることも多いのではないかと思うが、24時間営業のフィットネスクラブが急増しているのだ。

 筆者の記憶だと、数年前まではゴールドジムの原宿店、大宮店(もしかしたら大井町も)くらいしか24時間営業のジムはなかったと思うのだが、今では北は北海道から、南は沖縄まで24時間フィットネスクラブがいたるところに存在する。

 ■施設レポート

 はたして24時間フィットネスクラブのシステムはいかなるものなのか。一般的なジムと何が違うのか。ここはやはり、実際に見てみるのが一番早かろうということで、24時間営業専門の大手フランチャイズであるエニタイムフィットネスに突撃取材を敢行。

 ・特徴1【24時間年中無休】

 最大の特徴というか前提だが、24時間営業。早朝、深夜と時間を問わずにいつでも汗を流せる。また、24時間フィットネスクラブは基本的に休館日がない。時間だけでなく、365日いつでも利用可能だ。

 ・特徴2【セキュリティキーシステム】

 受付とが存在しないことが多く、会員は渡された専用のセキュリティキーで施設に入ることができる。このシステムにより、従業員がいない深夜や早朝という時間帯でも施設を閉めることなく、会員を受け入れることが可能に。

 ・特徴3【ジムエリア特化】

 マシン、フリーウェイト、ストレッチスペースなどのジムエリアに特化した構成が一般的。従来のスポーツジム、フィットネスクラブにあるようなプールやジャグジー、エアロビやダンスなどを行なうスタジオという設備は用意していないことが多い。

 もちろん、ジャグジーや大浴場がないというだけで更衣室やロッカー、シャワールームなどの必要な設備はしっかり整っている。

 ■実は24時間営業による副産物「気軽さ」が魅力

 24時間フィットネスクラブについて、エニタイムフィットネスセンター神楽坂店の山田氏にお話を伺った。

 --最近急激に拡大していますが、その理由はどこにあると思われますか?

 24時間年中無休のため、どんな生活サイクルの方でも通いやすいというのはもちろんなのですが、24時間営業をするための工夫により、副産物的に生まれる気軽さ、シンプルさが大きな魅力になっているのではないかなと思います。(山田氏)

 --「副産物的な気軽さ」とは?

 エニタイムフィットネスに関して言えばマシンジム特化型で、プールやスタジオなどはありません。そうした大規模設備をなくすことでスタッフが常駐していなくてもオープンできるのですが、そのおかげで入り口、更衣室、ジムエリアを近距離に配置しやすく、スムーズにトレーニングが開始できます。(山田氏)

 --僕(筆者)が以前に通っていた総合スポーツジムでは、受付からジムエリアへ向かうのに階段を使っていました。浴場までもかなり長い廊下を歩いていた気がします。

 大規模な設備があると各エリアの距離が離れてしまいやすいですからね。また、スタッフ不在時にも自由に出入りできるよう、セキュリティキーによる会員認証を行っておりますが、そのため入店の際に受付をする必要がありません。ここでも、より手順が簡略化されます。(山田氏)

 --確かに会員カードの確認なども、毎回のこととなると結構な手間ですね。プールや、エアロビなどのクラスを必要としない人にとっては、まさに願ったり叶ったりという感じですね。

 また、シンプルにすることが低価格に抑えることにもつながっています。(山田氏)

 --その気軽さが一番うれしいかもしれません。今後も、このまま24時間フィットネスクラブは拡大していくと思われますか。

 間違いなく広まっていくと思います。エニタイムフィットネスは世界21カ国に2801店舗(2015年5月現在)あり、日本国内でも2016年までに100店舗を超えると言われています。今後、フィットネス業界の新たなスタンダードのひとつになるのではないでしょうか。(山田氏)

 エニタイムフィットネス 神楽坂店

 マネージャー

 山田孝仁氏

 30歳を過ぎたころに体調を崩し、体質改善のためにフィットネスクラブに通い始める。これをきっかけにフィットネスにのめり込み、長年勤めたホテル業界を離れてエニタイムフィットネスのスタッフに転身。「仕事は楽しくなければ意味がない」と言い切るその姿を見る限り、転身後は充実した日々を過ごされているようだ。

 エニタイムフィットネス 神楽坂店

 地域の環境にマッチした、品のある内装が特徴的。「あったらいいな」サービスを追求しており、細かい部分の気遣いが、気持ちの良いトレーニング環境を生みだしている。

 東京都新宿区榎町43-1 神楽坂ビル1F

 東京メトロ東西線「神楽坂」駅 2番出口より徒歩6分

 東京メトロ東西線「早稲田」駅 1番出口より徒歩7分

 東京メトロ有楽町線「江戸川橋」駅より徒歩11分

 都営大江戸線「牛込柳町」駅より徒歩11分

 ■今後の展開

 山田氏がいわれるように、今後24時間フィットネスはより一層拡大していくだろうと思う。筆者は、もう2年ほど24時間営業のフィットネスクラブに通っている。それまで様々な総合スポーツジムに入会したが、ことごとく続かなかった。だが、今は無理なく自然と生活の一部となっている。不思議なことに、筆者が通っているのは深夜、早朝ではなく、一般的なジムならどこでもオープンしている時間帯である点だ。さほど意識したことはなかったが、お話を伺ってみたところ、やはり24時間営業に付随するシンプルさが、継続のカギとなっているのだろう。日本ではまだスタートしたばかりのジャンルであるだけに、さらなる進化を見せる期待も膨らむ。今後のフィットネス業界の動向が楽しみだ。

 ■その他の24時間フィットネス情報

 <ClassFit(クラスフィット)>

 月額制で、提携フィットネス系店舗のプログラムを受けられるWEBサービス。スイミング、ヨガ、キックボクシング、ボルダリング、ゴルフ、アルゼンチンタンゴなど、クラスの種類は極めて多岐にわたる。月額9900円(税抜)。

 <JOY FIT24(ジョイフィット24)>

 大手総合スポーツクラブであるジョイフィットグループのマシンジム特化型24時間営業シリーズ。24時間営業ではない、同系列の総合スポーツクラブとの相互利用サービスにより、トレーニングの幅が広がる。

 <FASTGYM24(ファストジム24)>

 こちらも大手総合スポーツクラブTIPNESSの系列店。誕生して間もないが、続々と店舗数を増やしている。マシンジム特化型。

 取材・文/太田史郎

 フリー編集&ライター。最新モノ情報はもちろん、スポーツ、音楽&ダンス事情にも詳しい。

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