「クサい男」は出世できない、女にモテない 対処しない理由は何か?

2016.3.5 17:15

 「周囲に気遣いできない人は出世できない」

 ある銀座ママが著書で「クサい男は出世しない」と語っていた。

 ニオイに無頓着な人は周囲に気遣いができない人であり、気遣いができないようでは出世できない、という持論だ。この持論に筆者(女性)が思わず納得してしまうのは、次のようなアンケート結果があるからかもしれない。

 湘南美容外科による「匂いに関するアンケート」。この質問に対する回答が男女で対照的だったのだ。

 「恋人にするなら『臭いイケメン/いい匂いのブサイク』どちらですか?」

 女性で「いい匂いのブサイク」を選んだのは63.5%。半数以上が外見より匂いを重視していることがわかった。

 やはり「いい匂い」派の団体職員のA子さん(31歳・未婚)の見解はこうだ。

 「どんなに人柄が良くても、仕事ができても、口臭や中年臭のようなものがすると、生理的不快感から顔をそむけたくなります」

 IT企業に勤めるB子さん(33歳・未婚)も同意見だ。

 「席が近いのですが、どうしてもニオイが我慢できずに、メールでやりとりをするようになりました。付き合う可能性? 絶対ありえません」

 一方、男性はどうなのか。

 結果は、「いい匂いのブス」より「臭い美人」を好む人が62.5%。さらに、自分がなるなら「いい匂いのブサイク」より「臭いイケメン」がいいと言う人が57%。どちらの回答も、女性とは真逆の結果となった。

 大半の男性は「匂いより外見重視!」と考えているのに対し、女性はエチケットを重視している。男女で重要視するポイントが全く異なっているのだ。

 それは、単なる男女差だと軽視してはいけない。なぜなら「クサい男は女にモテない」のに、多くの男性が匂いより外見を気にする、ピントのずれた危機意識を持ってしまっているからだ。

 男は外見の「劣化」を気にするが、対策はしない

 では、外見重視の男たちはどのようにして自分磨きをしているのだろうか。と、調べてみたが、案外サボっているケースが多い。

 例えば、毛髪について。

 薄毛や抜け毛を多少なりとも気にしている男性は1030人中、半数近く。にもかかわらず、薄毛対策として育毛剤などの商品を使ったことがない人が45.2%と半数近くもいる(AGAスキンクリニックによる薄毛に関する意識調査)。

 また別のアンケートを見ると、スキンケアやヘアケアに6割近くの人が多少関心を持ちながらも、対処をしている人はほとんどいなかった(インテージによるビジネスパーソン意識調査「男性の美容意識」)

 自分は「実年齢より若く見える」と勘違い

 男性はニオイより外見が重要。そう考えていながら、外見上の劣化が気になっても対処できていない。矛盾している。彼らが対処しない理由は何か? 

 同調査における回答を見ると、白髪、乾燥・かさつきに対しては「そこまでの必要性を感じないから」(各4割程度)、薄毛や肌のハリ・たるみは「対処法が分からないから」(各3.5割)だそうだ。

 一方で、同調査で「自分は実年齢より若く見える」と答えている人が約4割もいたことを見ると、「まあまあ、今のままでも大丈夫だろう」とあぐらをかいているフシが見受けられる。

 公務員のタカシさん(41歳・既婚)は白黒のゼブラ髪。外見ケアに関してこう語る。

 「最初は白髪が気になったけど、白髪染めの美容院に通ったりシャンプーを使ったりするのが面倒になって、今は完全放置。誰にも指摘されないってことは、許容範囲だと思うんですが?」

 もちろん、自己認識(本人=「今のままでも悪くない」)と現実(周り=「老けてるな~」)とのギャップがなければそれでいい。が、往々にして自分については自覚がないもの。

 見れば分かる顔のテカリと違って、ニオイにおいては極めて自覚しづらい。しかも、他人にあまり指摘されない(男性の友人・知人をクサいと気になったことがある女性は200人中156人。それを伝えた人は25名、伝えなかった人は131名!)。

 約84%はクサいと思っても、それをただ我慢しているということなのだ。

 「年相応に見えるはずで(ケアの)必要性を感じないんだよね、感じてもケアするのは面倒くさい」などとのんきに構えている今この瞬間にも、異性はじわじわとあなたから離れていっているのかもしれない。

 いや、もしかしたら異性だけでなく、同じ男性でもそのクサさに閉口し、また冒頭で銀座ママが分析したように周囲への気遣いができないという印象を持つ者も少なくないのではないか。だとすれば、どんなに仕事がデキる人でも、ニオイが出世の命取りとなる可能性は否定できない。

 なぜ、男はニオイ対策に無頓着でいられるのか

 それにしても、ニオイ対策ができていな男たちは、なぜこうも無頓着なのか。

 まさか、「○○さんは爽やかですね! 全然40代には見えませんよ」や、「オレ、クサい?」「まさか! 全然平気ですよ~」といった女性の社交辞令を真に受けているのではないか? 職場で働く女性にとって男性上司・同僚を軽くヨイショするなんて朝飯前だ。

 残念ながら、「クサくない」という評価は日によって上下するもので、アテにはならない。女性たちは、日ごろ、ショッピング施設や美容店などでアロマセラピーやらお香やらのいい香りに包まれ、家では柔軟剤を使う、いわば人工的ないい香りに慣れている。だから、男性陣のまったく無防備で野性的な汗のニオイや口臭、数年分のタバコ臭・居酒屋臭が染みついたスーツやコート、満員電車内で強制的にかがされる男用整髪剤のへんてこな香りには大いに違和感を覚える、という声が多い。男性には口に出して言わないだけだ。

 昨日までは本当に「無臭」と感じていた男性上司が今日は汗のニオイを漂わせたら一瞬で感知し、「クサメン」認定をされるのが女子業界の暗黙の了解。そんな女性から「異臭」を嗅ぎ取られないようにするには、もはや女子ウケする柔軟剤の香りでごまかすしかないかもしれない。

 [出典]

 ・湘南美容外科クリニックによる「匂い」に関するアンケート/調査対象:14歳~49歳の男女各200名(計400名)/調査年月:2013年5月/http://www.s-b-c.net/media/newsrelease-20130528_01.html

 ・AGAスキンクリニックによる薄毛に関する意識調査/調査対象:20代以上の男性1030名/調査年月:2015年5月/http://www.agaskin.net/public/000.php

 ・インテージによるビジネスパーソン意識調査「男性の美容意識」/調査対象:20歳~59歳のビジネスパーソン男性800名/調査年月:2015年2月/https://www.intage.co.jp/library/20150325/

 (フリーライター 桜田容子=文)

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